Wellness and the Nature
第7回 最新科学と感覚の調和

第7回 最新科学と感覚の調和

医療の進歩は日進月歩。世界中で多くの研究が毎日のように行われ、新たな知見が生まれています。その中にはこれまで常識だと考えられていたことが実は間違いであったという事実も含まれます。例えば『アイシング』について。一度は経験したことがある足首のねんざ。ねんざ後は腫れて痛みが出ます。その応急処置として氷嚢や氷水などを使ってアイシング(冷却)をするのが一般的な対処法です。しかし、近年の研究では損傷後の冷却は治癒を促進するどころか逆に遅らせるという結果が出ています。しかし、痛みの感覚と実際の治癒促進は別物で冷却は急性期の鎮痛効果はある、とも述べられています。
 このように今まで良いと思われてきたことが身体に対して実は逆効果・効果の根拠が乏しいということは多々あります。
 しかし、多くの研究では数値で測ることのできる要素(血中酸素濃度や水分量など)に着目して結果を出しています。つまり主観的感覚、「気持ちが良い」「体が軽い感じがする」という類を考慮していないということです。
 この『感覚』は実際の治癒と同様なくらい重要です。特にアスリートにとっては感覚的な調子の良し悪しが、試合に向けた集中力や精神安定に寄与し結果に現れることがあります。
 場合によって相反する内容も含まれていることをお話しすると「結局どうすればいいの?」と疑問を抱く方が多くいると思います。今回は科学的にも感覚的にも健康を維持するためのポイントをお伝えします。

①自分で考えて調べる
 例えば広告でよく見かける効果のありそうなサプリメント。大々的に広告を打っている場合、企業はその多額な宣伝費を回収しなければなりませんね。そうなると商品の品質を落とし低価格で製造している場合があると予想ができます。ある商品やサービスを購入する場合、事前にその会社について調べたり、問い合わせ(大半の会社ではメールでの問い合わせが可能です)をしたりと能動的に情報を集めることをお勧めします。その上で回答や対応に満足した場合お試しすると良いかと思います。

②情報をアップデート
 すべての物事は常に進歩していますので、何か知りたいと思ったら最新の知見に触れるのが最短距離で理解が進みます。最近では一般誌でも医学書顔負けの濃い内容の記事が載っていることもありますのでまずはそこから始めると良いと思います。
ここでのポイントはその記事が正しい研究やエビデンスによるものかを確認することです。
 また、正反対の見解をしている書籍を読み比べるのも判断力向上に役立ちます。

③自分の感覚を研ぎ澄ませる
 先にも述べましたが、科学的結果と同等なくらい重要なのがご自身の感覚です。どれだけ良いと評判のものでも自分にはイマイチだと感じ たならそれを信じて取り入れない。
 良いと思った習慣があれば、それを一定期間続けてみて自分の体調を確認する。自分に合った健康習慣を見つけるには、自分自身を時々内 観することが大切です。
 自分の感覚を研ぎ澄ましていくにはどうしても時間がかかります。情報や知識を蓄えるのと同時に色々な運動やサプリメントを試していく と自分にとって何が良いのか段々と明確になってきます。
 健康に関してもトライ& エラーの繰り返しです。時には信頼のおける専門家の意見も取り入れつつ試行錯誤を楽しみ、自分だけのオーダー メイドの健康法を見つけて下さい。

ヤマモトマサ
名古屋出身。治療家。トレイルランナー。最新の西洋医学と伝統的な東洋医学を組み合わせた手技治療を行う。トレイルランナーとしては国内外多数のレースに参戦。昨夏はアメリカで 100 マイルレース完走。出張治療承ります。bit.ly/masayama

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