Wellness and the Nature
第6回 やる気をマネージメントする

第6回 やる気をマネージメントする

 朝が早くて夜が遅い。私がバンクーバーに来た時に衝撃を受けたのがこの日中の長さ。加えて湿度も低く、快適この上ない季節ですね。このコラムでは運動の重要性を何度かお話ししていますが行動に移すのはやはり難しい。特に気持ち、すなわち『やる気』が一番の問題ではないでしょうか?
 身体的な問題で運動ができないのであれば仕方ないにしても、やる気がないからやらないということに罪悪感を感じる方は多いと思われます。今回はその「やる気」をいかにして引き出すか?そして継続するか?についてお話しします。
 まずお伝えするのが『やる気には個人差がある』こと。そして『やる気は有限で変化する』ということです。2 つ目の有限で変化する、ところが特に重要です。

 
 例えば、A さんとB さんがそれぞれ100 のやる気を持っているとします。運動をするには50のやる気が必要です。それぞれ今日の仕事後ジムに通おうと起床時決意します。A さんは忙しいながらも楽しく働いています。一方、B さんは同じ仕事量ですが人間関係のストレスの多い職場で働いています。A さんは仕事後30 のやる気がなくなりました。B さんは70 のやる気がなくなりました。結果、A さんのやる気は70 ですので仕事後ジムで運動をしました。B さんはやる気が30しかないので疲労を感じ、家に帰ってゆっくりしようと思い帰宅しました。
 上記の例で何が言いたいかというと、やる気は精神的な疲労で消耗するのです。肉体的な疲労からの消耗もありますが一般的には人間関係のストレスからきます。行きたくない会食に参加しないといけない、家族とのコミュニケーションがうまくいっていない、友人とケンカした、などがやる気を消耗する原因です。
 ですので、運動する・継続するにはそれ以前に精神的な消耗を日常から減らす(ストレスリリーフ)が重要となります。SNS を見て他人と自分の生活を比べ悲観したり、人混みへ理由もなく出歩くのも消耗を増長させます。
 自己消耗が抑えられたら8割は成功です。
運動をしようと思っている方がやる気を削がれなければ自然と運動をします。そして、運動をすることによってさらにやる気が増えます。
 やる気があるから運動をするのか、運動をするからやる気が出るのか。これまで研究されてきたのですが、結論はどちらも正解。
 身体を動かすことで脳へ刺激が加えられ、やる気が出る、やる気が出るから更に身体を動かしたくなる、といった流れです。ただし、人間はいきなり脳へ刺激を入れるのは難しいので、最初に身体を動かすことが簡単な方法です。「とりあえずやる」のが大事。部屋掃除を始めたら手が止まらなくなるのと同じです。しかし、常に自己消耗を防ぐことができるわけではないので、時にはサボってしまう。それを未然に防ぐためには「ルーティン」を作ること。ジムに行く前には必ず近くのカフェまで歩いて行って座らずにコーヒーを飲みながらジムへ向かう、といった感じです。「今日はジムに行こうかな、やめようかな?」という時はやる気が減っている状態ですので、間髪入れずにルーティンをこなす。ジムに行って運動すればやる気が出てくるのは科学的に証明されているので、運動前から開始までをひとまとめにするのがオススメです。
 やる気をコントロールすれば自然と心身ともに健康になりますのでぜひお試しください。

ヤマモトマサ
名古屋出身。治療家。トレイルランナー。最新の西洋医学と伝統的な東洋医学を組み合わせた手技治療を行う。トレイルランナーとしては国内外多数のレースに参戦。昨夏はアメリカで 100 マイルレース完走。出張治療承ります。bit.ly/masayama

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