【新シリーズ】Wellness and the Nature
第2 回 東洋医学的養生法

第2 回 東洋医学的養生法

 季節は春夏秋冬の四季に分かれていますが、更に細かく分けた『二十四節気』があるのはご存知でしょうか? そのうちの1つが新暦2月4日の「立春」です(年によって数日前後します)。暦の上では春の到来。ちなみに旧暦では、この日が大晦日で翌日から新年となります。
 しかし、春の到来といえども寒さが続くのは日本もカナダも同じ。そこで今回は、冬から春にかけての体調管理法、東洋医学的には「養生法」についてご紹介致します。
 養生は1つ先の季節を見越して行うことが予防に繋がるとされています。従って今から春に向けて体調管理を始めていくと気持ちの良い春を迎えることができます。
 冬・春はそれぞれ五臓でいう『腎・肝』に相当します。腎が弱ると腰痛や冷え症、髪ツヤがなくなります。寒い時期に不調を感じやすい方は腎が弱っているかも知れません。肝が弱ると肩こりや眼精疲労、イライラしやすいなどの症状が出ます。デスクワーカーや過度な運動をされている方は肝が弱りやすい傾向にあります。
 この時期の養生法は主にこの2つを整えることが重要となります。
養生法①汗をかいて保温する
 冬は発汗しづらい季節です。そのため、体内の水分代謝が悪くなり、冷え・むくみの原因となります。発汗することで余分な水分を体外へ放出し、汗をかく時は体温が上がる時。体温の上昇は免疫機能向上に関連しますので風邪やインフルエンザの予防に効果的です。代謝を上げることは肝を整えることにも有効です。汗をかいた後はすぐに着替えて保温につとめてください。
 ホットヨガやランニングなどの有酸素運動がオススメです。
養生法②内ももの筋肉をしっかりと使う
腎と肝の経絡はどちらも足から内ももを通ります。
現代人の日常生活上ほぼ使われることのない内ももをしっかりと動かすことがこの経絡の働きを高めます。
 オススメのエクササイズは「四股」。相撲の力士の基礎稽古でお馴染みの動作です。ただ、本格的に高く脚を上げる必要はありません。四股をベースとした「四股スクワット」を行うことで効率的に内ももを刺激することができます。
手順
⑴立った状態から脚を大きく真横に開き、つま先も真横に向けます(写真①)。身体の固い方は可能な範囲で行って下さい。
⑵その状態でヒザとつま先が同方向を向いたまま股関節とヒザを曲げ、腰を落としていきます(写真②)。その際背中や腰が丸くならないように上体は真っすぐ立っていた時と同じ状態を維持します。
⑶両方の太ももが地面と水平になるまで腰を落としたら元の位置に戻ります。

 以上を1 セット10 ~ 20 回の2 ~ 3 セットほど行います。最初はすぐに内ももが筋肉痛になると思いますが、それは普段使っていなかった証拠。週1回から始めて少しずつ頻度を上げてお試し下さい。
養生法③塩味・酸味・辛味
 食養生においては「五味」という考え方があり塩味は腎、酸味は肝をそれぞれ補うとされています。特に春を迎える前から酸味をしっかりと摂ることが重要です。柑橘系の果物や酢を使った料理が相当します。また辛味は腎の機能を助ける役割を持つ「肺」の臓を補い、体内の気を動かし水分を身体の隅々まで送ります。特に喉や鼻など呼吸器系の問題をお持ちの方や乾燥肌の方は、水分摂取とともに辛味を意識して摂っていただくと改善されやすくなります。どの養生法に関してもご自身の体調をご確認、または主治医とのご相談の上お試しいただければと思います。
 身体は資本。ちょっとした予防が1年健やかに過ごす秘訣です。(旧暦の)新年からもよろしくお願いいたします。 

ヤマモトマサ
名古屋出身。治療家。トレイルランナー。最新の西洋医学と伝統的な東洋医学を組み合わせた手技治療を行う。トレイルランナーとしては国内外多数のレースに参戦。昨夏はアメリカで 100 マイルレース完走。出張治療承ります。bit.ly/masayama

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