どんなに付き合いが長い友人でも、なかなか分かり合えない事があります。それは同じ性別や国籍だから少しは理解度が違うかと思えば案外そうでもありません。今までその人を形成してきた背景や生き様は簡単に理解できるものではありませんが、知ろうとする努力を怠る事の理由にはならないのではと考えています。
私にとって、日系カナダ人の方の歴史は近くて、遠い存在でした。理解しようとしても心から理解することはできない。けれども、少しずつでも知ることは出来ると思い、まずはバンクーバーの歴史から始めようと思いました。
殆どの人の記憶には空港に限りなく近いバンクーバーの地として、マーポールがあります。
マーポールは、第二次世界大戦前には日本人コミュニティが多く住む土地で、日系カナダ人というと名前の挙がる、共にカナダ勲章受章者であるジョイ・コガワ氏、ディビッド・スズキ氏が子供時代を過ごした場所でもあります。
ジョイ・コガワ氏の家族はカナダ内陸部に強制収容になる前まで、グランビルと64TH STREETの近くに1937年に居を構え、その場所が今もジョイ・コガワ ハウスとして残っています。見学は事前申し込みが必要です。
詩人でありながら、自伝的小説『Obasan』のカナダ文学賞を受賞した作家でもあるコガワ氏のマーポール宅は、作家で執筆活動をするために最大2か月の貸し出しがされており、訪問した際も作家ご夫婦が滞在していました。
決して大きな家ではないですが、日本にある洋館を思い起こさせる作りです。ひっそりとウクレレ教室や、小説サークルの会場になったりもしています。
行く前にマーポールのことを少しでも知りたいと思われる方は、日系ミュージアムが出しているポッドキャスト “Sounds Japanese Canadian to me”の「マーポールものがたり」を聞いてからご訪問ください。
空港に行く時に通り過ぎているだけと思っていた場所が、とても身近に感じるはずです。
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