【NaviTOUR】
~VIA鉄道 カナディアン号~の巻

日本の鉄道体験は比較的短距離。車内宿泊の経験はない。世界に誇る新幹線なら、仕事が終わって飛び乗っても、新大阪や広島ぐらいまでなら同日移動が出来る。車内泊の移動はしたことがなかったので、横に広いカナダの鉄道の旅とは、どのようなものか。勝手な想像が頭を巡った。

VIA鉄道のカナディアン号は、それとは対照的。

深い眠りに落ちている真夜中にいきなりの急停止。古い新幹線の食堂車を思い起こさせるダイニングカー。サスペンス物のドラマに出てきそうな長く細い廊下、横に目をやれば走る景色。元は貨物主体だった線路を旅客部門の運営として利用しているわけなので、いかに新しくしようとしても古さや不便さが垣間見えてしまうのだが。

その古さや不便さを味として捉えることができるのであれば、このカナダ随一の鉄道旅行で体験できるのは、カナダの風土と人そのものと言って良いのではないかと思う。

部屋専属の係員は旅行中、何かと顔を合わす。食堂車の係員の人々もしかり。食堂車に行くとコロナ前は相席で知らない人と座る事になるのだが、否が応でも自分がなぜ乗車しているかの短いストーリを披露することになる。短いプレゼンの様であり、お見合いの様でもあり。食事を終わるころには相席の新しい友人の旅を自分の体験に重ね合わせ、過去、そして未来の自分の旅を反芻、夢想することになる。

部屋に戻れば寝台は、食事中に座席からベッドへ、ベッドから座席へと係員がセットしてくれる。動の中の静のリズムもまた人によりもたらされる。

現在バンクーバー・トロント間は週一便。夏には本数が増えてくれることを期待している。コロナ禍では、車内の一部サービス制限など、フルサービスを享受できない状況であるが、次第にこちらも緩和になると思われる。

正直、光り輝く美しさを列車に求める方には、VIA鉄道のカナディアン号はお勧めしない。ただ、不便さや古さの利を知る方には、唯一無二の列車旅をおすすめしたいと思う。

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