英語はこうやって勉強しよう!
⑤「英語中級までに必ずやって おきたい『整理整頓』の術」

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⑤「英語中級までに必ずやっておきたい『整理整頓』の術」

  「すみません、このT シャツの色違いでM サイズってありますか?」
 「少々お待ちくださーい」と、バイトのあなたが言いました。
 奥の倉庫に行くと、右側にはT シャツ類が。左側にはズボン類が。右に行くと今度は手前が子供用、奥が大人用、ときちんと「整理整頓」されているので、奥に進んで、同じT シャツの入っている箱からM サイズを探し出す。服屋さんでバイトされたことのある方は「そうそうー!」と頷かれるかと思います。箱がね、いっぱいある、あの倉庫ね。
 では、ここで想像してみてください。
「すみません、このT シャツの色違いでM サイズってありますか?」と言われて倉庫に行くと、T シャツから靴下からジーンズからジャケットまで、子供服から大人服まで女性用から男性用まで、S サイズからLL サイズまですべてが「ごっちゃに」なっているのを。
 (え…この中から、お客様の言われている指定のTシャツを探すの…!?)とパニックですね。時間もめちゃくちゃかかります。
 さて今日なぜ服屋のバイトのお話をしたかというと、英単語が頭の中で「ごっちゃに」なっていると、指定のものがすぐに探し出せない様子とよく似ているからなのです。
 「『静けさ』っていう名詞を言いたい」と思った時に、quiet と出てしまった方。あなたの頭の中は、「ごっちゃに」なっているかもしれません!!
 英語を学習する際に、私の学校でもそうですが、初級の初級の一番最初に必ずおさえていただきたいことは「品詞」です。あー、なんか中学校で聞いたような、と頭が痛くなってきた方、もうちょっと頑張って読んでください。これからの英語の伸びに、確実に関係し
てくることなので。
 名詞、形容詞、動詞、副詞、前置詞…といったカテゴリーを「品詞」と言い、英語では一般的に全部で8種類あると言われています。この品詞たち、服屋の倉庫で言うと、「Tシャツが入った箱」なのか「ズボンが入った箱」なのか、といった感じ。目の前に2つの箱があって、右から1枚、左から1枚やみくもに取って着て、いざ出かけよう!となった場合。右にはT シャツが入ってて、左にはズボンが入っているとわかっていれば、目をつむって取って着て出かけても、ちゃんと上から下まで服を着ているはず。ところがそれぞれの箱に何が入っているかわからず、とりあえずやみくもに取ると、もしかしたらズボンと靴下しか履いてなくて、出かけちゃってるかもしれません。恥ずかしいー! 英語で文を作る時も同様に、正確な品詞を持ってこなければ、恥ずかしいー!となるわけです。
 さてここで、「でも英語はとりあえず通じればいい!」と思っておられる方へ。特に品詞にこだわらなくても、正直「通じます」。ここからは、どこまで「きちんとした」英語、「年相応の」英語、「相手のことを考えた」英語、「相手にとってわかりやすい」英語、「自分らしい」英語を話したいかどうか、の問題なのです。
 さて、もう少し品詞のお話。たとえば、「名詞」+「動詞」ってつなげないといけない、っていうルールがあったら、名詞の箱と動詞の箱から手探りで単語を探す、という作業をすることになります。ところが知っている単語が全部「ごっちゃに」なっていたら、なかなか探せませんよね…。単語は品詞という箱にきちんと「整理整頓」しておくことが、とっても大事なんですよ。後に素早くスピーキングできるようになるためにも、もちろん大事です。
 この「品詞」という概念をすっとばして走って来られた方に多く見られるのが、「その2つはつながんないんだよねー」という2つの単語を無理やりつなげちゃった、というミス。品詞同士の間には、仲が良かったり悪かったりという関係性があるので、仲が悪い2つをつなげちゃだめなんですよね。例えば「形容詞」+「名詞」の仲は赤い糸で結ばれた運命の2人。「T シャツとジーンズ」みたいに。一方「形容詞」+「動詞」の仲は最悪。ここつなげちゃうと、聞いている方にとっては意味がわかりにくい…という文章になります。服屋の話でいうと、「なんで帽子と靴下だけ履いてんの、今日?」って感じ。
 この「品詞の箱の中にきちんと整理整頓」は、
1)英語初級者で、今からとりあえずいろいろ頑張りまーす!という方
2)英語中級者で、ここまでなんとか単語の羅列だけできてしまったよ…という方にぜひオススメです。
 皆さんの頭の中は、服屋の倉庫だと思って、ここらでいっちょ腰据えて、ぜひ整理整頓をしてみましょう。結局そう遠くない将来、箱詰めを頑張った自分に必ず感謝する日が来るはずです!

記事提供Vector Internaitonal Academy

筆者プロフィール:Mari Kato
University of British Columbia (UBC) 大学院教育学修士号取得(英語教授法)。大阪大学大学院言語文化学修士号取得。
カナダのカレッジで通訳翻訳コースを10 年間教えた後、「短期間で英語を話せるようにする学校」Vector International Academy を創立。Chief Instructor として教鞭を執る一方、バイリンガル司会業や通訳業、コラムニストとしても活躍。

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