旅の小道具 飛行機編


 カナダの面積は日本の約26 倍。国内旅行でも飛行機で移動することが多くなります。バンクーバーからカナディアンロッキーの玄関口のカルガリーまでは約1 時間と短距離ですが、赤毛のアンとロブスターで有名なプリンスエドワード・アイランド州まで行くとなると、乗り継ぎを含めて7 時間以上かかります。沖縄から北海道まで飛んでも3 時間ほどですから、かなりの距離ですね。今回は、航空機での移動を少しでも楽にするために、私がいつも持参する小道具をご紹介しましょう。
 空港の保安検査場で、水やジュースなどの液体が没収されるのはもはや常識。ハンドクリームや歯磨き粉、マウスウォッシュなどは100 ミリリットル以下の容器に入れて、縦横20 センチ以下の透明なジプロックにまとめれば、1袋に限り持ち込めます。
リップクリームは、ジェル状は不可でスティック状ならOK。ハンドサニタイザーや化粧水、保湿ローションは、コットンに染み込ませて小分けにすれば持ち込み可。また、咳止めシロップやコンタクトレンズ用保存液、熱冷ましシート、使い捨てコンタクトレンズ、目薬、乳児用離乳食・飲料は、機内で必要になる量に限って、申告なしに持ち込めます。スプレー缶は、機内持ち込み、預け入れ荷物ともに不可なので、家に置いておきましょう。
 保安検査後は、航空機内と同じく安全が保証された「クリーンエリア」と呼ばれます。私は空の保温保冷ボトルを持参し、ソイラテやアイスコーヒーなど機内サービスにない飲み物を買って移し入れ、飛行機に持ち込んで好きな時に楽しみます。ビタミンC の粉末スティックを持って行けば、機内で水をもらってドリンク剤を作り、栄養補給することも可能。
ちなみに、機内は常に乾燥しているので、室温の水をチョビチョビ飲むのが美肌を保つコツ。冷水はすぐトイレに行きたくなり、水分補給には逆効果です。
 カナダ横断では深夜便を利用することがあります。夜11 時頃バンクーバーを出発して、朝6 時半頃トロントに到着しますが、3 時間の時差を越えていくので実質的に寝られる時間は4 時間ほど。乗客の目が睡眠不足で赤くなるので、レッドアイ・フライトとも呼ばれています。熟睡は無理でも、翌日の活動に備えてできるだけ眠るため、私は半円形の首枕を利用します。荷物をできるだけ減らしたいので、空気で膨らませるタイプを使っていますが、ビニール臭がなく、洗えるカバーが付いていて、肌触りが良いものを選ぶようにしています。
 機内の照明は真っ暗にはなりませんから、集中して眠るためにはアイマスクも必須。耳にかけるゴムがきつすぎないものを選びましょう。近頃は経費節減で毛布も有料ですから、大判のショールを膝にかければ、足元が暖かくてよく眠れます。機内では冷気が天井から流れてくるので、冷え性の方は、下着やT シャツの上から首の後ろや両肩にミニサイズのホッカイロを貼って温めるようにしましょう。脚のむくみ対策には着圧ソックスやタイツも必須。3時間以上のフライトには効果抜群です。窮屈な靴から折りたたみスリッパやルームシューズに履き替えるのもリラックスできてGOOD。
 私の旅の小道具で最も重要なのは耳栓。深夜でも日中でも、機内に響くエンジン音は知らぬ間に神経を疲れさせます。また、友人の話し声なら気にならなくても、知らない人の大きな声は意外と耳障りなもの。気圧の変化で具合が悪くなり、泣き叫び始める赤ちゃんも少なくありません。そんな時、耳栓さえあれば苛立つこともなく快適に過ごせます。使い捨てのウレタンスポンジ製なら、長時間装着しても耳が痛くならず、雑音をカットして人の声は適度に通すため、アナウンスを聞きそびれることもありません。短時間のフライトでも疲労感がかなり違うので、耳栓効果を一度お試しくださいね。


石川まりこ

石川 まりこ:兵庫県神戸市出身。日本で海外旅行専門添乗員として約 50 ヵ国を案内、その後、カバン専 門商社のビジネスコーディネーターとしてフランスとトルコに駐在。 1992 年 3 月、カナダに移民。現在はツアープランナー、ツアーガイド、トラベルライター、フリーランス 翻訳者として幅広く活躍。2013 年エイチアイエス・ワールドベストガイド賞受賞。 Twitter や Facebook で、美味しいバンクーバーや知ってるようで知らないカナダ、この地で暮らして感じたこと見知ったことをポジティブに情報発信する。現在、ARA Professional Travel & Support Inc. 勤務。 ツイッター:twitter.com/Natulive_Canada

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