どっちを選ぶ?個人旅行と団体旅行

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個人旅行のメリットは、何といっても自由なこと。旅の目的地も日程もすべて好きなように選べます。予定を立てず、ふらりと立ち寄った町が気に入ったら、滞在を延ばして暮らすように旅してもいいし。足の向くまま気の向くまま、地図を見ながらピンと来た方向に歩いて行けば、かわいい青空市に出会えたりして。1人でも友達同士でも家族と一緒でも、個人旅行なら他の誰かに気をつかう必要はありません。

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 ただし、個人旅行にはデメリットもあります。ホテルの選択やバスや飛行機の切符の手配、食事の場所から観光のポイントまで、予算を考えながら全部自分で決定しなければなりません。何か問題が起これば交渉するのは自分しかいないし、詳細を知りたければ自分で問い合わせることになります。自主的に動けて、何でも調べることが好きで、分からなければ外国でも質問できる語学力と積極性があり、問題を自己解決する根性もあり、トラブルもトラベルのうちと開き直れる人なら大丈夫。でもガイドブックや地図を読むのも面倒くさいという人にはお勧めしにくい旅のスタイルです。
 一方、行程がキツキツで、食事はあまり美味しくなく、乗り合わせた人達と気が合わなかったらどうしようと敬遠されがち団体旅行。でも最大の利点は「気楽」なこと。ツアーで利用するホテルは旅行会社が視察を重ねて選ぶので基本的に清潔。食事には土地の名物が多く、観光にはガイドがついているので迷うこともなく効率的に見て回れます。色んなことを自分で決める自信がない、細かく調べるのは苦手、言葉が不安、トラブル処理は誰かに任せたい、それより何より旅を楽しむことに集中したいという方は団体旅行向き。
 最近は駆け足旅行にならないように、1つの見所で最低30 分は過ごすゆったりツアーも増えています。食事にこだわるなら、メニューの選択や自由食の日があるツアーはいかがでしょう。「昼食」とか「サーモンディナー」とだけ書いてあるツアーの食事は期待薄。この店でこんなコースを食べますと店名からメニューまで明示しているのが理想的。ある街でどうしても行きたい店があるのなら、その晩だけ離団書を出して、個人で食事に出かけてもいいのです。また、ハイキングや野生動物観賞、ワイナリー巡りなど、テーマのあるツアーなら旅の友に出会えて、共通の話題ですぐに親しくなれます。

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 個人旅行と団体旅行のいいとこ取りをするなら、旅先で日帰りや1、2 泊の「現地発ツアー」に参加するのがお勧め。特に旅の最初に予定すれば、その土地を知り尽くしたガイドから最新の現地情報が引出せます。ガイドブックに不足しがちな楽しいエピソードや行っておきたいお店情報が入手できて、充実した時間になること間違いナシ。個人でガイドを雇うと高くつきますが、散策ツアーなら料金があらかじめ設定されているので絶対お得。宿泊付きなら、車がないと行けない見所や個人手配では泊まれないホテル、1人では入りにくいレストランなどが含まれていることもツアーを選ぶポイントです。
 全部自分でネット手配したら、ホテルは街から遠く離れた郊外で、日程も短かすぎて見所に行けず、距離感がわからないので迷ってばかりで結局疲れました、という方が少なからずいます。現地の旅行会社に早めに相談してもらえれば、もっと時間と予算を節約して、効率的にお楽しみいただけたのにと残念に思うことがしばしばです。

 一生に一度しかない貴重な時間をお預かりして、楽しい思い出をいっぱい詰めてお持ち帰りいただくのが旅行会社の仕事です。

 上手に利用して、賢い旅人になってくださいね。

石川まりこ

石川 まりこ:兵庫県神戸市出身。日本で海外旅行専門添乗員として約 50 ヵ国を案内、その後、カバン専 門商社のビジネスコーディネーターとしてフランスとトルコに駐在。 1992 年 3 月、カナダに移民。現在はツアープランナー、ツアーガイド、トラベルライター、フリーランス 翻訳者として幅広く活躍。2013 年エイチアイエス・ワールドベストガイド賞受賞。 Twitter や Facebook で、美味しいバンクーバーや知ってるようで知らないカナダ、この地で暮らして感じたこと見知ったことをポジティブに情報発信する。現在、ARA Professional Travel & Support Inc. 勤務。 ツイッター:twitter.com/Natulive_Canada

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