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『Peninsula』-爆走! ゾンビ・デス・ロード

『Peninsula』-爆走! ゾンビ・デス・ロード

 時速300km で走行する高速鉄道を舞台にしたゾンビ・パンデミックという斬新なアイデアで、ゾンビ映画は当たらない、と思われてきた韓国の「常識」を覆し、数々の映画賞を受賞した『Train to Busan(新感染 ファイナル・エクスプレス)』(2016年、監督:Yeon Sang-ho、出演:Gong Yoo, Ma Dong-seok)。逃げ場のない絶望的な状況でゾンビに襲われる恐怖、その中で繰り広げられる人間ドラマに号泣した人も多いはず。同作は、2016 年カンヌ映画祭の特別招待作品に選ばれ、国際的にも高い評価を受けた。更に、前日譚を描くアニメ映画『Seoul Station(ソウル・ステーション/ パンデミック』(2016 年、監督:Yeon Sang-ho)も作られた。
 そして、ファン待望の続編、『Peninsula』(監督:Yeon Sang-ho、出演:Gang Dong-won,Lee Jung-hyun)がついに公開された。舞台は、『Train to Busan』から4 年後の世界。ゾンビ・パンデミックにより韓国の国家機能は完全に破壊され、朝鮮半島から脱出した人々は、国外へ散り散りとなった。香港で自暴自棄な難民生活を送る元兵士のジョンソク(Gang Dong-won)は、半島の仁川(インチョン)に残された2 千万米ドル分の現金を回収して持ち帰る、という危険な仕事に関わることになる。しかし、行く手を阻むのは、ゾンビだけではなかった…。
 モダン・ホラーの巨匠Stephen King は前作を「ジョン・ウー+ ゾンビ・アポカリプス」と絶賛していたが、今回の続編は、さながら「マッド・マックス+ ゾンビ+ ポスト・アポカリプス」という感じ。極限状態の人間ドラマ部分はもちろんのこと、よりパワーアップしたアクション、特にゾンビが跋扈する廃墟をを爆走するカーチェイスシーンは圧巻だ。アクションシーンを引っ張っていく女性キャラクター達からも目が離せない。韓国ゾンビ映画の新たな可能性を感じさせ、新たな続編への期待が高まる1作。二匹目のドジョウならぬ、「二匹目のゾンビ」は確実にいたのだ。

高野 宣李(たかの せんり)
Twitter: @usagy_van
さすらいの旅がらすライター。2002 年からバンクーバーに在住。好きな海外ドラマ、映画は数知れず。面白ければ何でもござれの雑食系で、カナダ、アメリカ、日本を股に掛けて映画やテレビを追っ掛ける日々。

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