第50回 境界線と依存心について
境界線とは、他者との間にバランスが取れる、自分にとって居心地のいい「パーソナルスペース」のこと。自分と他人との距離感が分からないとか、人と親密になるのが怖いと感じている。もしあなたがそういう感覚を持っているのだとすると、他人との境界線を引くことができなかったり、依存心が強いのかもしれません。
例えば、彼とドライブに行ったとします。そこで渋滞に遭ってしまいました。
彼はなかなか車が動かないので、とてもイライラしてきました。
そんな時、あなたはどう感じますか? 自分が彼のイライラをどうにかしなければいけないような気がしたり、どうしたら彼がイライラしなくて済むだろうとか気を揉んで、自分までイライラしたり落ち込んだりしますか?
こういう気持ちが起こる場合、相手の感情に自分が責任を感じているということになります。
渋滞でイライラしているのは彼の感情で、あなたとは関係のない感情です。イライラの原因は渋滞であり、それに対応している彼自身の感情なのであなたがどうにかしようとすることはできません。ですが、彼の感情に介入してどうにかしようとしたりしてしまうのは、彼と自分の感情に境界線をうまく引くことができないからなのです。
■依存心が強いほど、境界線がうまく引けない
「境界線」と言うと何か相手との間に壁を作るようなイメージを持つかもしれませんが、そうではありません。居心地が良いと感じる人との距離間であり、自分の軸を保つために必要なスペースです。 周りの人の顔色ばかりをうかがってしまったり、人に必要以上に気を使ってしまったり、嫌われないように振る舞おうとしてしまう。こういう思いが強い人は、境界線がうまく引けていませんし、 依存心が強い人とも言えます。 人に気を使っているようで、結果、依存心は相手に不満や要求が多くなりますし、自分主体に他人を動かそうといつも考えてしまいます。また、依存心が強いと、相手のありのままを受け入れず、自分の望んでいる相手の姿を要求するか、相手の望むままの自分でいようとします。そうしているうちに、本来の自分が分からなくなったり、ありのままの自分でいられなくなります。
■「依存心」は誰でも持っている?!
依存心とは、「甘え」の感情です。甘えることは、悪いことではありません。ただ、それが強すぎると、傷つくことも多くなり、執着という思いも生み出してしまいます。もしあなたが誰かに依存しているのだとすると、あなたは子供の頃に甘えたいのに、甘えられなかったという思いがまだ強く残っているのかもしれませんね。こういった場合、人は自分の一番近い存在の人に『甘えさせて、私を育て直して!』という気持ちを、無意識の間に『怒り』として表現することが多くなってきます。
もしあなたがなぜか身近な人に強い怒りを感じているのであれば、相手をコントロールしようとするよりは、あなた自身の境界線のヒビをまず修理することが第一優先となるでしょう。
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