私がバリスタになるまで その4 by Yuka

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まさかの内定からの転機
 思うような就活の結果が出ないまま、語学学校を卒業した。疲れが一気に出たのか、1 週間ひたすら寝て、寝て、寝た。飽きるほど寝た。
 そんな寝込み明け、私はあるカフェから採用をもらった。パートタイムのバリスタのお仕事。面接の際、

このカフェはどうあるべきと思うか

という質問をされた。

実は私、大学の卒業論文のテーマを『カフェ』にするくらい、カフェという場所がお客様に与える影響、カフェを経営するオーナーの思いなどに関心があった。

だからその質問は私にとって興味深いもののはずで、もちろん一生懸命答えたけれど、私自身もしっくりこない回答だと感じたし、オーナーの女性も納得のいかない顔をしていた。
 絶対落ちたと思った。だから採用の連絡が来た時、嘘じゃないかと思った。
 ただ、やっと念願の仕事に就けるというのに、何となく釈然としない。理由はわからなかったけれど、そのカフェで働けることにワクワクしなかった、というのが正直な感想だった。

明日からトレーニングという時、レジュメを出していた別のカフェから面接の連絡が来た。

レジュメを渡しに行った時から印象が良かった場所だ。キッチンヘルパーとしての募集ではあったが、私は面接を受けに行くことにした。バスを乗り逃し、あわや遅刻かと思ったが、何とか到着。対応してくれたマネージャーは台湾出身の、私と同い年の女の子だった。「On time!」と笑顔で言われて、緊張がほぐれるのを感じた。
 難しいことは一切聞かれなかった。日本での職歴と、趣味の話。バリスタの経験はないが、レストランでのサーバー経験と、コンビニでのレジ経験の話を興味深く聞いてくれた。面接の、よくある独特な堅苦しさはなく、ただただ楽しかった。チャンスがあればバリスタへの道もあるとのことだった。マネージャーの彼女も、もともとはキッチンヘルパーとして働き始めたことも教えてくれた。
 目標のバリスタとは違う仕事だったけれど、もう少し自分の英語に自信を持つことがまず必要だと感じた。『英語上達』という目標を軸に色んな文化背景や価値観を持った人たちと働きながら、いつかバリスタとして働く自分の姿を思い描く方が、ずっとワクワクした。

私は、ここで働くことを決意した。

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