【新シリーズ】Wellness and the Nature
第1回 自然と健康の関係性

Oops!読者の皆様、初めまして。今月から連載させていただくヤマモトマサと申します。

『アウトドアライフは人を健康にする!』と信じて止まない私ですが、その理由を医学的側面から捉えつつ分かりやすくお伝えしていきます。「なるほどね!」と楽しんでいただき、皆様の健康的な生活にお役立ていただければ幸いです。

 今夏からバンクーバーに滞在しており、時間さえあれば毎日のように山や森に出向いております。そこで感じるのはアウトドアアクティビティへのハードルの低さです。ハイキングをするにしても、日本の場合「登山」=「キツい、苦しい」と言った偏った印象がいまだ残っています。
しかし、ここバンクーバーでは老若男女問わず犬の散歩からマウンテンバイク、トレイルランニングなど各々のやりたいことを各々のペースで楽しんでいるように見受けられます。
市街地からのアクセスも近いのも相まって気軽に楽しめる「遊び」の一部のようです。決して「キツい、苦しい」印象は受けません。そして何よりアウトドアの場で会う方々の幸せそうで人生を謳歌している様子に心惹かれます。
アクティビティを楽しんだ後はコーヒーを飲みつつ談笑する。そんなハッピーな空気感さえ感じられます。

 さて、その心身ともに充実した様子と健康、そしてアウトドアはどのように関係しているのでしょうか?
 その関係性を語るにあたり重要なものが「オキシトシン」という脳内ホルモン。このホルモンの主な役割として、分娩時の子宮の収縮や母乳の分泌など女性の出産に関連する点が大きく取り上げられています。しかし、他にとても重要な役割があります。それは他者との「社交性・信頼関係の構築」「共感力」を高めること、そして自分には「抗ストレス・鎮痛作用」「自律神経の調節」です。

幸せにも色々な形がありますが、円満な人間関係とご自身の健康はどなたも重要なのではないでしょうか?

オキシトシンはその 2 つに深く関係しているホルモンと言えます。家族や友人と楽しく会話を交わし、ストレスフリーで体の痛みもない心身ともにバランスの取れている状態を作り出してくれる。なんと良いこと尽くめでしょう。

 では、このオキシトシンをどうやって出せば良いのでしょうか? その方法の 1 つが『五感を刺激する』ということ。五感とは味覚・聴覚・視覚・嗅覚・触覚の 5 つです。アウトドアライフの中で例えてみますと、

視覚:自然の美しい景色を眺める。

聴覚:鳥のさえずりや川のせせらぎ、波の音を聴く。

触覚:水の冷たさやトレイルの凸凹を踏みしめ歩く。

:木々が発する※フィトケミカルを吸い込む。

※植物由来性化学物質(例:フィトンチッド)。嗅覚を通じて脳へ働く。免疫機能の向上。森林浴の効能の主役。

味覚:新鮮な海の幸や山の幸、またはキャンプでの食事。と、アウトドアライフは全身を隅々まで刺激し、オキシトシンを放出する要素が満載なのです!

 街と自然をシームレスに繋ぐ。それがカラダとココロ、日常と非日常の心地良いバランス、幸せや充実感の向上に繋がります。

 その「ちょうど良い」人が人として生きることができる街、バンクーバー。

 この街に世界中から人が集まるのは数字だけでは見ることのできない自然との心地良い距離感が知らぬ間に人々を癒し、健康にしているからかも知れません。

ヤマモトマサ
名古屋出身。治療家。トレイルランナー。最新の西洋医学と伝統的な東洋医学を組み合わせた手技治療を行う。トレイルランナーとしては国内外多数のレースに参戦。今夏はアメリカで 100 マイルレース完走。出張治療承ります。bit.ly/masayama

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