ホテルの部屋はプライベート空間?

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 ホテルに到着したら、フロントデスクでチェックインしてカードキーを受け取り、エレベーターで指定された階に上がって、ドアを開けて部屋の中へ。
 あーやっと着いた〜とベッドに寝転んだり、スーツケースを開けて洗面道具やドレスを取り出したり。ディナーにつけていくアクセサリーを選びながら、どこのレストランにしようかiPadで調べたりして。ちょっと休憩したら、さあ街歩きへ。ドアを閉めたら、鍵はオートロックでかかるので戸締りはカンペキ! でも実は、ゲストルームに入るのはお客様だけではないのです。

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 客室に果物やお花のお届けがあれば、ハウスキーパーがマスターキーで入室します。高級ホテルなら夕方にベッドメイクをしてチョコレートを枕元に置いてくれるターンダウン・サービスがあります。連泊の場合は、日中にハウスキーパーが入れ替わり立ち替わり入って、ベッドメイキングやバスルームの清掃をしてくれます。
 通常のホテルなら2〜3人のハウスキーパーが1組になって、それぞれ持ち場を決めて1室ずつ丁寧に掃除しますが、ランクの低いホテルの場合、廊下にずらりと並んだドアを全部開け放して、流れ作業でこなしていきます。そんな時、アクセサリーが
テーブルの上に散乱していて、iPadはベッドの上に放置状態、買ってきたブランドバッグもお土産も、開けっ放しのスーツケースに置いたままだったら、宿泊客をよそおってホテルに入り込んだドロボウが置き引きよろしく持ち出してしまうかも!

どうしよう パスポートだけでなく、アクセサリーや電子機器などの貴重品も、必ずクローゼットにある室内金庫に入れて、パスワードでロックしてから外出しましょう。客室に金庫がなく、フロントデスクにも十分な大きさの保管金庫がない小さなホテルでは、スーツケースの内張りの中に入れて、その上に服をたくさん重ね、荷崩れ防止の内装ベルトを締めて、フタを閉め施錠します。面倒くさいでしょう? そう、ドロボウさんも手間がかかることは大嫌い。金の延べ棒が入っていると確信したならこじ開けるでしょうが、よほどのことがない限り、スーツケースが壊されたり、まるごと盗まれたりすることはありません。要は、大切なものは目に見えないところに隠しておくことです。

 客室から物がなくなったら、残念ながら真っ先に疑われてしまうのはハウスキーパー…。失業率6.79%のカナダでは、職をdistarb失ったら大変。特に解雇されたら、前の会社には信用照会先になってもらえないので、再就職はさらに難しくなります。それなのに、値打ちもわからない指輪をポケットに入れてクビにされるのは、まったく割に合いません。なので、客室係を疑うのはお門違い。実際には、お客様ご自身の置き忘れや勘違い、別の場所での紛失がほとんどなのです。
 外出中に部屋に入ってほしくない場合は、DO NOT DISTURB(入室禁止)のサインを外のドアノブに常時かけておきましょう。ただし、ゴミの収集やタオル交換、ベッドメイキングなどの清掃サービスは受けられません。一流のホテルでない限り、時間外に頼んでもやってもらえないことがあるので要注意。

 ホテルの部屋はお客様のプライベート空間でありながら、スタッフなら誰でも入れる場所でもあると考えて、小物や荷物の置き場所を確認しつつ、しっかり管理してお過ごしください。旅の安全は自分で確保しましょうね。


石川まりこ

石川 まりこ:兵庫県神戸市出身。日本で海外旅行専門添乗員として約 50 ヵ国を案内、その後、カバン専 門商社のビジネスコーディネーターとしてフランスとトルコに駐在。 1992 年 3 月、カナダに移民。現在はツアープランナー、ツアーガイド、トラベルライター、フリーランス 翻訳者として幅広く活躍。2013 年エイチアイエス・ワールドベストガイド賞受賞。 Twitter や Facebook で、美味しいバンクーバーや知ってるようで知らないカナダ、この地で暮らして感じたこと見知ったことをポジティブに情報発信する。現在、ARA Professional Travel & Support Inc. 勤務。 ツイッター:twitter.com/Natulive_Canada

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