バンクーバーの夏の風物詩、ナイト・マーケット。
毎年、多民族都市バンクーバーならではの様々なナイトマーケットが週末の夜を賑わしているが、その一つ、Richmond Night Marketを訪れたときのこと。
ナイトマーケットの楽しみは、なんといっても軒を並べる屋台で食べる多国籍フード。
香ばしいイカ焼きやチャイニーズの食欲をそそられる匂いの中、何を食べようか…とブラブラしていたら「お茶漬け」と書かれた店が。
う〜〜ん…お茶漬けかぁ…わざわざ屋台で食べなくてもな…
というのが第一印象だった。
じっと眺めていると、
「どうぞ、どうぞ!試食だけでも!」
あ…じゃぁ…と受け取って一口食べると…。
!!!美味しい!!!
家でさらさらっとやる、緑茶をぶっかけたあのお茶漬けではなく、高級料亭で出てくるような、本格的な味の「ダシ茶漬け」だった!
とりあえず、他も見てから…と、一旦その場を離れ、他の屋台で串カツや魚のフライなどをつまんだけれど、
やっぱり無性にさっきのお茶漬けが食べたくなる。 |
最初、屋台のお茶漬けで$9はちょっと高いかな…と思っていたけど、戻ってよく見ると、 「ハーフサイズ」$5(全部のせ$6)がある。
種類はチキン、鮭、えび、ビーフとそれら「全部のせ」。トッピングも手作りのソースや天かすやゴマなど自分でチョイスできる。
ここはちょっと贅沢に全部のせ!と注文し、熱々をいただく。
からだの隅々に沁み渡るような繊細なだしの旨味。
日本を離れ、この美味しさに高級料亭でなくナイトマーケットの屋台で出会えるとは夢にも思っていなかった。
そこで、この美味しさを皆さんにも伝えたい!と、後日改めてインタビューをさせてもらった。
「CHA-DZU-KE」を出店しているのは、榊原修真さん。
“カナダに寿司、ラーメンに続く新しい日本食を広めたい!”をテーマ・目標に、今年(2015年)のリッチモンドナイトマーケットにお茶漬け屋を出店した。
修真さんは、カナダでの生活のなかで、味噌汁が非常に浸透していることを実感し、日本のだしを活かしたお茶漬けを考案。
また、外国人特有のポイントとして、料理を自分でカスタマイズすることが好きである、ということも考慮し、無料のトッピングを用意して、そのニーズに応えられるようにした。
「日本でも食べられない、日本のお茶漬けを超えたCHADZUKEを目指してます」
という修真さん。
しかし、例年より早く猛暑となった今年の夏、ナイトマーケットでのお茶漬け屋の出店は、当初予想したより厳しい展開になったという。
それでも、日没後の気温が下がり少し肌寒く感じる頃には、売上も徐々に伸びてきた。
「日本人のお客さんをはじめ、多くの外国人のお客さんへの反応は良好だと感じています」。
残念ながらナイトマーケットは残すところあとわずかの開催となったが、修真さんは「とても長い時間が必要になるとは思いますが、いろんな方からのアドバイスや、ご協力をいただきながら、諦めることなく、情熱を絶やすことなく一歩一歩進めていく覚悟です」と語る。
来年は、ナイトマーケットだけでなく、日系の飲食店が多く出店する桜祭りやパウエル・ストリートフェスティバル、日系祭りでも、また屋台だけでなく常設のレストランとして修真さんのお茶漬けに再会できることを期待している。
(CHA-DZU-KE屋さんの出店は、土・日のみ)