社長訪問:八木 一仁 「motion pla-net productions」

ピンチの時にこそ真価を問われる。いかに瞬発力をもって対処できるかによって自分への評価も大きく変わる。自分も、そういうことがあると逆に燃えるんです。

DSCN0668_2

日本のテレビ番組や広告の海外ロケのため、日本から来る撮影チームの現地コーディネートを引き受けるmotion pla-net productions』。2015年6 月にバンクーバーで収録の『新婚さんいらっしゃい!』のコーディネートも手がけている。

代表である八木さんが初めてカナダという国を意識したのも、テレビで見たドラマがきっかけだった。80 年代に大人気を博した『ライスカレー』というドラマに登場するバンクーバーやロッキーの景色を見て、単純に「行ってみたい」と思ったそうだ。

高校2 年の時に海外で学んでみたい」と将来の進路を考えた八木さんは、カナダ留学を目指すことを決意。ネットもなく情報も少なかった当時、頼りはカナダ領事館にあった留学事典1 冊のみだったという。

DSCN0713_21 年間は両親からのサポートを受けて語学学校に通い、

1 年で大学に入れなかったら諦めて日本に帰国

という約束で、高校卒業後の1989 年9 月にカナダへ渡航。

バンクーバーの語学学校で半年間、一から英語を勉強する日々を送り、その後3ヵ月間は自力でTOEFL の勉強をした。

その甲斐あって、1年間の猶予期間中にカレッジへ進学を果たす。4 年制大学への編入を目指し、心理学を専攻した八木さんは、ここでもまた ひたすら勉強の日々。本を読み、論文を書き、週末も図書館で過ごすことに。

「語学学校の下積みと2年半のカレッジ生活で、ある時、勉強に疲れてしまったんです」

と、当時を振り返る。カレッジ卒業後、何か違うことをしてみたいと思っていたところ、友人を通して『skyland pla-net(現pla-net inc.)』の代表と出会う。それは、八木さんが「天職」と呼ぶ仕事との出会いでもあった。IMG_0242

 「最初は、撮影コーディネートという仕事内容が想像もつかなかったんですが、自分の経験に置き換えてみて、宴会をコーディネートする幹事と似たようなものかもしれないと。それならできるかも、と思いました」。

入社して、まず任されたのがリサーチの仕事

場所や人を探し移動手段を調べるなど、撮影に必要なすべてのお膳立てを整える。

インターネットがなかった時代、連絡手段は電話とファックスで、目指す情報にたどり着くまで膨大な時間と労力を要した。

やがて、撮影現場に立ち会っての現場コーディネートを経て、全体的な予算管理まで任されるようになった。

撮影についての知識もなかったので、現場ではすべてが勉強でした。会社にとっては冒険だったと思いますが、社員を信頼して任せてくれました」。

2013 年に独立した後も、pla-net inc. 時代に培った仕事上のノウハウ以上に、八木さんの財産となっているのは自分たちの関わる仕事に誇りを持つ』という仕事上の哲学とも言うべきもの。そのためには、時として仕事を辞退することも。だからこそ、今でも興味を持って、この仕事を好きで続けていられる、と八木さんは言う。

今は、ネットやメールで手軽に色々な情報が手に入るようになったが、そこに行ってみなければ分からないことがたくさんある。人と顔を会わせて、話をしてこそ、人の心が動く。思いがけない展開が待っている。

「エンディングに劇的な逆転満塁ホームラン…なんてことが本当にあるから、この仕事はやめられないんです」

この仕事の魅力はどんな点ですか?

八木:大阪の人間なので、初対面の人といかに早く親密になって、どんないい反応を引き出すか、本音を引き出せるかと考えますね。この仕事は、1 対1 の人間同士のヒューマンビジネスだと思うんです。人同士の関係で、物事の進み方が変わる。自分が現場の
潤滑油となって、みんなを繋げるというのも仕事かなと思いますね。

今まで多くの撮影現場に参加されたと思いますが、 一番印象に残っているのはどこですか?

DSCN0703八木南極ですね。ペンギンの子育てを撮影するという企画でした。南極大陸に民間機は着陸できないので、近くの島まで行ってそこからヘリで飛ぶんですが、離陸側と着陸側の両方の天気が良くないと飛べない。滞在中はアルゼンチン基地にお世話になったんですが、そこへ移動するのに天気待ちで1 週間も足止めでした。3 週間に渡る撮影も済み、そこでの最後の夜には盛大な送別会を開いてくれたんですよ。でも、翌日からまた天気待ちで5 日間待機。食堂に行くたびにバツが悪かったですね(笑)。

お仕事を通して感動したことは何かありますか?

IMG_0068八木北極圏でイヌイットのイッカククジラのハンティングを撮影した時です。フローエッジという凍っている海と凍っていない海の境目に行って野営をしていたんですが、ある夜イヌイットたちが血相を変えて、今すぐここを離れるぞ!と。後になって、乗っている氷が沖へ流されていたと分かりました。でも、僕たちにはその感覚がまるで分からなかったんです。イヌイットの人たちは、厳しい自然環境の暮らしの中で、生きていく知恵を身に付けている。彼らの凄さというのは、そういう人間としての能力の凄さだと実感しました。

座右の銘

ピンチをチャンスに

八木さんからのメッセージ~これからの君たちへ

この国は、自分から動いて初めて道が拓けるという事がたくさんあります。Face to Face で人と会って話したり、汗をかいて経験を積んだりして得た知識は、パソコンで得られる情報とは全く違います。ぜひ自分の足で動いてください。その場に行ってみないとわからないことが、きっとあります。

image1

image2


こんな記事も読まれてます。