旅の小道具 VIA 鉄道編

 鉄道ファンでなくても一度は乗ってみたいと思うのが、カナダを代表する旅客列車、VIA(ヴィア)鉄道。特にトロントとバンクーバーを結ぶ大陸横断列車カナディアン号は、運行距離4,466 キロメートルの長大な路線を4 泊5 日かけて走ります。これは新幹線で東京〜博多間を2往復する長さに相当します。日本で寝台列車に乗る機会が減った今、移動だけが目的ではなく、のんびりと列車に揺られながら、カナダをゆったり旅したい方が増えてきました。1950 年代に活躍した昔の客車が今もまだ使用されているので、鉄道旅行全盛期のノスタルジーも味わうことができます。
 列車内は、コンシェルジュまで付いた豪華寝台のプレステージ、1 〜2 名用の個室寝台、開放的な上下寝台、エコノミークラスの一般座席に分かれています。スーツケースなどの大きな荷物は、乗車前に荷物車に預けるため、泊数分の着替えや持病の薬など車内で必要なものは、別のバッグに分けて持ち込みましょう。カナディアン号にはインターネット接続がない上、田舎を走る時には携帯電話も圏外になるので、読もうと思って手付かずになっている本を読むチャンス! ノートパソコンやタブレットでダウンロードした映画などを観たい方は、騒音にならないようイヤホンもお忘れなく。各寝台には、コンセント(110V、60AC)が2 個あるので、充電については心配ありません。
 どのクラスの寝台にも、シャンプーやボディローション、小さな紙コップ、石鹸、ティッシュ、トイレットペーパー、毎日交換されるハンドタオルとバスタオル、走行音や警笛が気になって眠れない方のための耳栓が常備されています。歯ブラシと歯磨き粉、リンスはないので持参しましょう。上下寝台は夜間のみ分厚いカーテンで廊下と仕切られます。個室寝台には洗面台とトイレが室内に付いていますが、シャワールームは1車両に1ヵ所の共用です。 カーテンもドアも外から施錠できないので、食堂車に行ったりシャワーを浴びたりする時に、貴重品を持ち運べるポシェットやウエストバッグがあれば便利です。ちなみに、エコノミークラスには上記のような備品がなく、シャワーも利用できないので、1泊程度の短い旅行向きです。
 車内は常に換気されていて微風があります。特に眺めのいい展望車は空調が強くて寒く感じることも。カーディガンやショールなど羽織るものが手元にあると助かります。就寝時に風に当たると喉が乾燥して風邪をひきやすくなるのでマスクも欲しいところ。寝台内でずっと靴を履いているとくつろげないので、スリッパもあると楽。ただし、食堂車などに行く時は、揺れる車内でしっかり歩くためにスリッパから靴に履き替え、日本人以外には伝染病患者に見えてしまうマスクは外すようにしましょう。
 プレステージや個室寝台、上下寝台の料金には、朝昼晩の1日3食が含まれています。

イメージ画像 実際とは異なります。

食事時間以外でも、展望車のパーク・カーやスカイライン・カーのラウンジに、コーヒーや紅茶、ハーブティー、クッキー、バナナやリンゴなどの果物が常時用意されています。保温力のあるタンブラーにお湯を入れておけば、揺れる車内を何度も往復することなく、いつでも好きな時に寝台でお茶が楽しめます。食事の量はカナダ風にたっぷりなので、夜中にお腹が空くことはないと思いますが、長旅の間には緑茶やミニカップ麺があるとホッとすることもあります。エコノミークラスの場合、食事は有料で、時間やメニューも限定されています。
 VIA レールの旅は移動ではなく経験です。多少の遅延はあるものの、日本では珍しくなった夜行列車の旅情や美味しいと評判の食事、朝な夕なに刻々と変わる車窓の風景、気さくながらも丁寧な乗務員のサービス、世界各地からカナダを訪れている乗客との触れ合いなど、その魅力は尽きません。百聞は「一験」にしかず、広大なカナダならではの列車旅をぜひご体験ください。

※画像、動画は VIAホームページより


石川まりこ

石川まりこ

石川 まりこ:兵庫県神戸市出身。日本で海外旅行専門添乗員として約 50 ヵ国を案内、その後、カバン専 門商社のビジネスコーディネーターとしてフランスとトルコに駐在。 1992 年 3 月、カナダに移民。現在はツアープランナー、ツアーガイド、トラベルライター、フリーランス 翻訳者として幅広く活躍。2013 年エイチアイエス・ワールドベストガイド賞受賞。 Twitter や Facebook で、美味しいバンクーバーや知ってるようで知らないカナダ、この地で暮らして感じたこと見知ったことをポジティブに情報発信する。現在、ARA Professional Travel & Support Inc. 勤務。 ツイッター:twitter.com/Natulive_Canada

こんな記事も読まれてます。