英語はこうやって勉強しよう! ⑦「英語の発音」

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⑦「英語の発音」

今月はいよいよ、多くの日本人英語学習者の方が気になっている「英語の発音」についてご紹介させていただきます。まず私の学校では、初級コースから、発音をしっかり教えております。ええ、それはもう「しっかり」。多くの方が「発音がいいとかっこいいから」とおっしゃいます。確かに、そうかもしれませんね。けれども私の学校で発音をしっかりと叩き込むのは、「かっこいいから」ではないのです。「かっこいいから」のためにやっているにしては真剣すぎませんか…⁈と思われるほど、一音一音細かく英語の発音の訓練をしていただいております。ではそれはなぜかというと、「皆さんの話す英語は、思っている以上に、皆さん自身のアイデンティティを相手に伝えるから」なのです。かいつまんで言うとつまり、日本語で話す時に伝わってくるその生徒さんのアイデンティティを、できる限りそのまま英語でも伝えられるようになっていただきたい、という理由なのです。そう。「話し言葉」というのは、それほど相手に自分のイメージを伝えるものなんですよね。
 そこで今日は、私が過去14 年間にわたって教えている英語の発音のコツを、少しだけ書かせていただきたいと思います。
 英語の発音で気をつけたいもの…というと、だいたい/l/ と/r/ の違いとか、/b/ と/v/ の違いとかが頭に浮かばれたでしょうか? 確かにそれも大事ですが、色んなところで既によく言われていることなので、皆さんご存知かと思います。せっかくなので今日はちょっと視点を変え、私がクラス初日に必ずお話しする「母音」に焦点を当ててみたいと思います。
 さて、ここでクイズです。日本語で「あ」に聞こえる音って、英語にはいくつあるでしょーか? 音声学的
にはいろいろな理論や仮説がありますが、ここではあくまで、私がクラスで教えている方法をご紹介いたしますね。私は「5つある」という視点から「あ」の音について説明させていただいています。「えー、5つもあるのぉー⁈」ですよね。でもこの5つ、英語話者は基本的に、全部ちゃんと「違う音として」発声しているんですよね。なので、それを全部同じように日本語の「あ」で出してしまうと、時々伝わらなかったり、違う意味でとらえられたりすることもあるのです。例えば、「ハート」と「カット」と「ディレクター」と「キャット」と「バード」。それぞれに含まれている「あ」の音は英語ではすべて「異なる音」として認識されているんです。
 今日はその中でも私がクラスでは「1番の『あ』」と呼んでいる/ɑ/ という音を取り上げてみましょう。これは「ハート(heart)」に含まれている音です。これだけ聞くと、日本語話者の耳には確かに「あ」と聞こえますが、辞書でheart と引いて音声を聞いてみてください。よくよく聞くと、やっぱりなんか「あいうえお」の「あ」とは違った感じに聞こえませんか?
 ではこの音の「実際の出し方」をせっかくなので一緒に練習してみましょう。これができるだけでも、かなりわかりやすい英語に聞こえるんですよ。ではまず舌の位置です。舌をうーんと下に下に落としましょう。
同時に喉の奥をうーんと開けましょう。ちょっと、あくびをする感じに似てるかもしれません。でもできれば口をぱっかーんと開けない方がいいですね。口ではなく、喉の奥です。耳の下にあるあごのジョイント部分を下げる感じです。そして「あー」と言ってみてください。
いつもの地声というよりも、カラオケ用にとってある、歌声に聞こえませんか?
 では最後にこの音を使って、単語を言ってみましょう。heart,park, father, party。
文章練習もやってみましょう。
I had a “party” with my “father” in the “park .
 3回、喉の奥、開けられましたか?
 発音練習の基礎はこのように、口の中の構造がどうなっているのかを知っていただくことだと考えます。舌の位置、口の中の空間の大きさ、息の強さ、などなど
野球のバットの素振りや、ギターでの指の使い方に似ていて、まずは筋肉の動かし方を学ぶ。それがわかったら、体が覚えるまで徹底的に練習する。言うのは単純ですが、練習はきつい…‼︎ けれども私たち教師が一緒に練習に付き合い、この方法でVector では多くの生徒さんが、自分らしさを表現するために必要な「発音」というツールを、早い方ならほんの数週間で身につけておられます。むしろ「口まわりの筋肉のスポーツ」だと割り切って、皆さんもぜひやってみてくださいね!

記事提供Vector Internaitonal Academy

筆者プロフィール:Mari Kato
University of British Columbia (UBC) 大学院教育学修士号取得(英語教授法)。大阪大学大学院言語文化学修士号取得。
カナダのカレッジで通訳翻訳コースを10 年間教えた後、「短期間で英語を話せるようにする学校」Vector International Academy を創立。Chief Instructor として教鞭を執る一方、バイリンガル司会業や通訳業、コラムニストとしても活躍。

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