火曜日は映画に行こう!
もしもこの世にBeatles がいなかったら…

もしもこの世にBeatles がいなかったら…

 昨年末から始まった『Bohemian Rhapsody』旋風が止まらない。すでにブルーレイディスクや配信版などのメディア販売が始まっているのに、映画館での上映も続いている。特に日本での人気ぶりは類を見ないほどの盛り上がりで、Queen を扱った書籍が次々と刊行されるだけでなく、かつての音楽雑誌全盛期に発行された関連書籍も再版され、全国各地の劇場で発声・振り付けOK の“応援上映” も行われている。第91回アカデミー賞では、「編集賞」、「音響編集賞」、「録音賞」、「主演男優賞」、「作品賞」の5部門でノミネートされ、作品賞を除く4部門をすべて受賞するという快挙を成し遂げた。
 公開当初の批評家やレビューサイトでの低評価、作品に対する批判は、実際に映画を観た人たちの熱狂的な歓迎ぶりに吹き飛ばされた感がある。一度ならず、二度、三度と劇場に足を運ぶ観客も少なくない。結局5 回見に行ってしまった私のようなQueen 世代がハマるのはもちろん、Queen を知らない世代をも魅了したのは、やはり音楽の持つ計り知れない力、理屈なしに人の心を惹きつける力なのでは、と思う。  
 そんな音楽映画のジャンルで、今年新たな波が来そうなのがBeatles だ。
6 月28 日公開予定の『Yesterday』(監督・Danny Boyle、主演・Himesh Patel)では、“Beatles がいなかったら?” の世界を描く。売れないミュージシャンのジャック(Himesh Patel)は、世界中が停電に見舞われたその日、交通事故に遭う。目覚めた彼を待っていたのは、Beatles という存在が「消えた」世界。地球上でただ一人、Beatles を記憶しているジャックは、彼らの楽曲によってスターダムへと駆け上っていくが…。全篇で流れるBeatles のヒット曲には、懐かしいと感じる人も初めて聞く人も心躍らされること間違いなし!
 もう1つは、『Rocketman』(監督・Dexter Fletcher、主演・Taron Egerton)。こちらは、現役で活躍している世界的ミュージシャン・Elton John 本人のプロデュースで製作された“ミュージカル・ファンタジー” だ。Elton John の人生を描いた単なる伝記映画の枠を超えた、ひと味違ったBiopic。ド派手なステージ演出、ノリノリのライブシーンではまさに観客が宙を舞う。『Kingsman』シリーズのTaron Egerton が、歌の才能を存分に発揮した演奏シーンは必見だ。公開予定は5 月31日。
 Queen と同様、どちらもイギリスのミュージシャンを取り上げた映画。今年もBritish Rock が熱くなりそうだ。

高野 宣李(たかの せんり)
Twitter: @usagy_van
さすらいの旅がらすライター。2002 年からバンクーバーに在住。好きな海外ドラマ、映画は数知れず。面白ければ何でもござれの雑食系で、カナダ、アメリカ、日本を股に掛けて映画やテレビを追っ掛ける日々。

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