火曜日は映画に行こう!
隠された宝石を探す旅

隠された宝石を探す旅  

 2017 年サマーシーズンはブロックバスター映画が目白押し。ブロックバスターとは莫大な製作費を投じて作られる超大作映画というだけでなく、メディアで大々的に取り上げられ、公開に先駆けて世界各国でプレミアイベントを開催するなど、宣伝にも巨額の費用が投入される。ざっと調べただけでも、5 月には『Guardians of the Galaxy Vol.2』『Pirates of the Caribbean: Dead Men Tell No Tales』、6 月は『Wonder Woman』『The Mummy』、7 月は『Spider-Man:Homecoming』など、空前のブームを誇るアメコミ原作映画や人気シリーズのリブートや続編が目につく。
 これらの映画はお金を掛けているだけあって、映像は派手だし、俳優は豪華だし、友達と一緒に観に行って盛り上がること間違いなしだ。でも、そんな超大作映画以外にも様々なジャンルで数え切れないほどの作品が世に送り出されていて、残念ながら1人で追い掛けるには限界があるのが実状。
そんな中、たまたま巡り合った映画がとても素晴らしくて、何だか得をしたような嬉しい気分になることがある。今回はそんなHidden Gem をご紹介。
 『Swiss Army Man』(2016)は、ハリー・ポッターで知られるDaniel Radcliffe が、万能ナイフのSwiss Army Knife の如き万能な「死体」を演じている。無人島に漂着した青年Hank がこの万能死体と親友になっていく…という一見、荒唐無稽なようでいて、人間にとっての普遍的なテーマをきちんと描いてみせてくれた傑作。2 つ目はスウェーデン映画の『A Man Called Ove』(2015)。最愛の妻を亡くし、定年間近で突然仕事をクビになったOve は絶望して自殺を図る。が、思いもかけず隣家の外国人移民家族との交流が始まる中、少しずつOve の日常が変わっていく。同時進行で描かれるOve の生い立ちと人生、更にちょっとだけミステリーのスパイスが効いている。悲しいけれど幸せになれる映画。3 つ目はドキュメンタリー映画『Kedi』(2016)。「猫の街」で有名なトルコのイスタンブールに暮らす野良猫達を、街の住人達の目線を交えて追い掛ける。全編ひたすら猫、猫、猫…。
猫好きには至福の1 時間20 分だ。
 時には大作映画を脇に置いて、自分だけのHidden Gem を探し歩く旅に出てみるのはいかが?

高野 宣李(たかの せんり)
Twitter: @usagy_van
さすらいの旅がらすライター。2002 年からバンクーバーに在住。好きな海外ドラマ、映画は数知れず。面白ければ何でもござれの雑食系で、カナダ、アメリカ、日本を股に掛けて映画やテレビを追っ掛ける日々。
Web 媒体を中心に海外ドラマや映画レビューなどを執筆。
海外ドラマ&セレブニュースサイトtvgroove.com
オフィシャルブログ『usagy のアメリカンTV 気まぐれウォッチング』を不定期更新中。

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