私がバリスタになるまで その6 by Yuka

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勝手にコーヒートレーニング
 キッチンヘルパーの仕事にも慣れ、余裕で必要な作業を終えられるようになった。それでも、バリスタのチャンスは巡ってこなかった。 私のワーホリにも終わりが見えてきた時、どうにかコーヒーの作り方だけでもマスターしようと思いついた。  

 キッチンの作業を早く片付けて、時間を作った。チャンスがあればいつでもバリスタとして働き始められるように、合間を縫ってコー ヒーを作る練習をした。同僚も私の思いを知ってか、オーダーが入ると積極的に作り方を見せてくれた。みんなそれぞれ自分のやり方を 持っているのも、面白い発見だった。  

 コーヒーを淹れるのは思ったよりもずっと難しかった。天気や温度でコーヒーの状態も変わるし、ミルクをスチームする加減も、種類に よって異なってくる。コーヒー作りの基本は、エスプレッソとスチームミルク。エスプレッソはボタンひとつで機械が作ってくれるけど、 スチームミルクは難しい。ミルクに、蒸気や空気を入れる具合を調節して、なめらかに仕上げなければならない。  

大きな違いは2つ。
1つはラテ用のスチームミルク。泡立ちが少なく、ミルクの量も多い。
もう1つはカプチーノ用のスチームミルク。 ラテよりも多く泡立てるので、ミルクの量はラテの半分になる。

この2つがマスターできれば、おおかたお店のドリンクは作れるようにな るけれど、私はラテのスチームミルクが苦手で、いつもカプチーノのような泡たっぷりのドリンクになっていた。お客さんに出すまでには 到底及ばなかったので、同僚のためにドリンクを作っては、半ば強制的に飲んでもらっていた。  

 そんな毎日が1ヵ月ほど続いた。その間、バリスタではなく、ベイカーのポジションなら空きがあるという話をもらったこともあった。 しかし、私は『バリスタ』になりたかった。バリスタになって、コーヒーを作って、英語を使いたかった。 

 私は希望を伝え続けたが、こればかりは人事の問題。私の希望が叶わない可能性なんて、十二分にある。だから目の前の自分にできることを、とにかく楽しむことに決めた。  

 今思えば、運というものは、そういう時にこそ巡ってくるのかもしれない。

Yuka

Yuka

英語とカフェが好きで、コーヒーの街・バンクーバーにワーホリしにやってきました。趣味は写真を撮りに散歩すること。日々英語と仕事に奮闘中。

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