“ボクは、カナダに来た時と同じ格好で、同じ荷物をもち、スカイトレインの駅前に向かった。もうすぐ、出発だ。アンドレに会いやすい時間帯に行った。
最初の頃は見つけるのがあんなに難しかったのに。今ではわかるんだ、アンドレがどこにいるのか。やっぱりいてくれた。
ボクはカナダに来て1日目、初めて彼に会ったときのように、バックパックを彼の隣に置き、その上に腰掛け、黙って彼の歌を聴いてた。涙が止まらなかった。
最後の歌は、彼がボクに教えてくれた、彼のオリジナルソング。「My Song」だった。最後の曲が終わったとき、ボクはアンドレの涙に気付いた。ボクらは駆けより、抱き合って、人目を気にせず大声で泣いた。子供のように、泣いたんだ。
「気をつけて行っておいで、息子よ」アンドレはそう言葉を残してくれた。年が明けるまでに、必ずお金持ちになって帰ってくるから。それまで元気でね、アンドレ。”(抜粋)
作者がバンクーバーに着いたその日に運命的な出会いをした、ガンに犯された64歳のホームレス、アンドレ。ストリートミュージシャンでもある彼から趣味のギターレッスンを受けながら、実の親子のように心を通わせて行く2人の交流が感動的。彼との出会いと別れ、再会などが、素朴な文章と写真によって綴られたA4用紙31枚にも及ぶエッセーの中に、散りばめられている。何はともあれ、文章を読んでもらえば、作者の純粋さとアンドレを思う気持ちが伝わるはずだ。このような作品に出会えただけでも、この賞をスタートさせた意義があるというもの。今後のワーホリ・オブ・ザ・イヤーの基準となる作品になることは間違いないだろう。
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