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―バレエ一家で育ったそうですね。
英三子:母にはよくバレエの舞台に連れて行ってもらいました。一番印象に残っているのは、ロシアのキーロフバレエ団による『白鳥の湖』でしょうか。それまでは踊りを観ていてもつまらないとしか感じなかったのに、なぜかこの舞台には最初から最後まで釘付けになりました。私には姉が2人いるんですが、やはり幼い頃は2人共バレエをやっていました。とても仲の良い姉妹で、話す内容はバレエのことが多かったですね。こんな環境で育ったので、私がバレエ一筋でやってきたように思われるかもしれませんが、幼い頃は他にも色々な習い事をしていました。書道、水泳、ピアノにそろばん…。学習塾にも通っていましたね。
―英三子さんの夢に影響を与えた人は?
英三子:バレリーナの森下洋子さんです。日本が誇るバレリーナであるというだけでなく、同じ広島出身ということで一層親しみを感じますね。「1日休めば自分に分かり、2日休めば仲間に分かり、3日休めば観客に分かってしまうから、片時も練習を休むことができない」という森下さんの言葉は、同じバレエダンサーとして常に私の心の中にあります。一度、森下さんの舞台を観た後、本人に直接お会いする機会に恵まれたのですが、舞台の上ではとても大きく見えた森下さんが、実際に目の前にするととても小柄で驚いたのを覚えています。表現力が豊かな真の踊り手だと実感しました。家族の中では、祖父も私に大きな影響を与えた1人です。3年前に亡くなりましたが、陰ながらいつも私の夢を応援してくれていました。祖父自身、何事に対しても人並み以上の努力をしていた人で、「人が1時間練習するなら、2時間練習しなさい」とよく言われました。
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―バレエ漬けだった日本での日々から一転、バンクーバーでの生活はいかがですか?
英三子:こっちに来て何よりも新鮮だったのが、周りにバレエをやっている人が全くいなかったことです(笑)。日本にいたときは、家族はもちろん友達もほとんどがバレエをしていたので、それが当たり前のように感じていたんです。今は、バレエとは全く関係のないところでの仕事もしながら、いろんな人に出会えることを心から楽しんでいます。
―海外の講師のどんなところが印象的でしたか?
英三子:私が影響を受けた講師というのは、教えるときに例えば「これからあなたの足に魔法をかけるわよ」とか、「首をキリンのように長く」、「手を鳥のように広げて」といったように、身近なものでバレエの動作のイメージを膨らませ、子どもたちが楽しく学べるよう工夫をしていました。私もそんなふうに、子どもの感性を育てる教え方の“引出し”を少しでも増やしていきたいと考えています。
―バレエ講師として今後目指すものとは?
英三子:音楽を聴いて、その感情を身体全体で表現するバレエは、感性を育てる上で大変役に立つはずです。けれど、私は決してバレリーナだけを育てたいのではなく、私の教えたことがきっかけで、将来何らかの芸術の道に進む子がいてくれれば、教える立場にある人間としてこんなに嬉しいことはありません。
聞き手・出口 範子
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