[デビュー 前の意気込み]
「チップは1セントでもいい!
誰かが僕の歌に耳を傾けて、それに価値をつけてくれるなら…。できれば、大きな人垣ができて、その中心で歌えたらいいな!」

KEN、29歳の夏、デビューが遅すぎることはない?

  Oops! のクラシファイド欄でミュージシャン仲間を集っていたのを発見し、『バンクーバーデビュー』企画を提案すると
「やらせてください!」とノリノリだったKEN。以前働いていた飲食店で雇われていたミュージシャンを見て、いつか自分もギターひとつでどこででも大好きな音楽を奏でながら、お金が稼げたらいいなぁと漠然とした夢を抱く。オーストラリアやニュージーランドでワーホリを経験してからカナダにやって来たワーホリ流れ者。このままただ流れて行くだけでなく、ここカナダでは今までやってきた音楽の集大成として「必ずや人垣を作ってストリートデビューしてやる!」と意気込みだけは充分。デビュースポットを決める際には、編集部が人通りの多い場所を提案するものの、KENはかたくなに「憧れのロブソンスクエアで決行します!」と譲らない。そのえらく強気な発言に驚きながらも、ここはKENのためのページ。心残りがないようにやらせてあげたい。そんな心優しい編集部の配慮もあって、そのスポットに向かったものの…。

 

 

movie
こ、こんなはずじゃ…。
人がいない! ここで演奏しても、虚しいだけだ。記念すべきデビューなんだから、やっぱり人通りが多いところがいいよな…。ということで、図書館前に急遽移動。
 
こ、ここでデビューか…。人通りも多いし場所的にはGOODだけど、いざとなると勇気でないな〜。はぁ〜…。「ひとりって、寂し〜〜っっ! 彼女も僕を見捨ててバイトに行っちゃったし…」。
呼吸を整えてやっと第一声を出してみる。すると、日本人らしき女の子の一団が…。「わが同胞よ!」と思いきや、空気のような扱いで素通り。
誰も足さえ止めてくれない。でも歌うしかない。あ〜…この虚しさ…。僕は孤独なロンリーチャップリン。

キャップ大好きなコリアンの団体が背後にいるものの、全く興味を示してもらえず、ちょっとやけ気味でシャウト!

後ろにいた裸足の謎の青年が、突然話しかけてくる。
「日本人なら、ここで歌ってみれば?」。

渡されたのは、割り箸の紙キレのメモ。
Kingsway沿いにあるレストランの
住所が書かれていた。
残るはラスト1曲! 気合を入れ直していると、1人の日本人青年が足を止めた。「何か歌ってください」と言う彼に、自作曲『僕に力を』を力の限り熱唱するKEN。
「僕もストリートミュージシャン目指しているんです」と、謎の青年SHINJIさん。互いに意気投合して携帯の番号を交換する時の嬉しそうなKENの表情といったら…。
譜面を見ながらの演奏を改めるのが、次回への課題。ちょっと恥ずかしい歌詞のラブソングも、心が込もれば、きっとみんなに伝わるはずさ。
集まったチップはというと…もちろんゼロ。ここまでいくと清々しいね。


[感想]
1回大声を出してしまったら、恥ずかしさも消えました。次はどこでも歌えそうです。せめて1セントぐらいチップは欲しかったけど、最後の最後でストリートミュージシャンの仲間にも知り合えたし、お金以上に価値ある収穫がありました! 本当に良かったです。世界一のミュージシャンを目指して頑張ります! 街中で見つけたら、ぜひ1セント入れてくださいっ!
[デビューその後…]
KEN、バンクーバーデビューから3週間…。
図書館前でデビューして以来、Granville St.×W. Pender St.を活動場所に選び、地道に演奏中。この10日間で何と$40近くのチップをGET!  バイトに勤しみ、路上で歌う彼にとっては、これからが正念場。頑張れ、KEN! Oops! は一生懸命なキミを応援しているぞ!
誰一人として立ち止まってくれなくても、自らのためにシャウトするKEN。かなり悲壮感が漂っていたけど、それはそれでかっこいいぞ! がんばれKEN!!!
 
   
   

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