Bill Reidは20世紀後半の先住民アート史で、最も有名で最も素晴らしい作品を残してきた、伝説の巨匠である。
 彼は23歳のとき、母方の祖父を訪ねてクィーンシャーロット島に行く。祖父は偉大なるHaidaアーティスト、Charles Edenshawの愛弟子であった。その祖父の影響を受けた彼は、それまでのラジオアナウンサーではなく、アーティストの道へ進むことを胸に決め、1951年にトロントからバンクーバーへ移り住んだ。
 Haida族の村からトーテムポールを引き上げ、UBCの人類学博物館にその村を再現するプロジェクトで力を発揮するかたわら、多くのオリジナル作品を生み出す。さらに彼は伝統的な宝飾技術に現代の技術を融合させ、複雑で美しい模様を生み出し、多くのアーティストへ影響を与えた。彼はその技術を次々と若い世代に伝えつつ、ハイダアートの復興に力を注いだ。
 Bill Reidの常に“最上のモノ作り”をモットーとした作品は、木彫りの彫像、トーテムポール、金銀細工、版画、彫刻など多岐に渡って残されている。それらの高い芸術性が認められた結果、カナダの20ドル札の裏面のデザインには、彼の4つの作品が使用されている。『Jade Canoe: The Spirit of Haida Gwaii』『The Raven and the First Men』『Haida Grizzly Bear』『Mythic Messengers』である。特に最も有名なのは、Haida Gwaii村酋長のKilstlaaiと多くの動物たちが同じ船に乗り、喧々諤々としながらも自分たちの進むべき未来を模索している『The Spirit of Haida Gwaii』だろう。『The Raven and the First Men』もそうだが、彼の作品には神話や民話の一場面を表すものも多く、伝承が色あせないよう、輝きを与えるものであった。
本名Willam Ronald Reid。1920年、BC州ビクトリアにて、Haida族の母とヨーロッパ系の父の間に誕生。亡くなる1998年までの多くをBC州で過ごし、多くの作品を残す。得意としたのは複雑で立体的な作品。代表作にバンクーバー国際空港の『The Spirit of Haida Gwaii』などがある。資料協力:Bill Reid Foundation (www.billreidfoundation.org)
 
     
 
『The Spirit of Haida Gwaii』はHaidaアーティストのBill Reidにより1993年に作られたもの。Vancouver International Airport Authorityのコレクションで出発ロビーに展示されている。同じデザインのものが、ワシントンDCのカナダ領事館にも置かれている。
20ドル札の裏面に使用されているクマの紋章『Haida Grizzly Bear』。Bill Reidは版画作成もレパートリーのひとつであった。Bill Reid Foundationコレクションより。Photo by Artist for Kids
Bill Reid とUBC人類学博物館が所蔵する代表作『The Raven and the First Men』

写真提供 Native Online
http://www.nativeonline.com/toddsbio.html
神話を伝える様子を表した『Mythic Messengers』。彼の作品は、神話を正しく伝えるもの。Bill Reid Foundationのコレクションだが、現在はバンクーバー国際空港に貸し出されている。Photo by Reinhard Derreth
 
 
 
Noel Brownさん36歳。先住民アート作成に携わって12年。金銀細工の他、木彫りやトーテムポールも制作する。金銀細工は主に受注生産だが、常にオーダーがいっぱいだという
 幼少の頃から先住民アーティストである親戚や祖父に囲まれて育ったNoelさんが、初めて見よう見まねで木彫りを作成したのは7歳の頃。
 学校を卒業してからは大工として働いてみたものの、自分の代わりなどいくらでもいることに辟易とした彼は、仕事の合間にオリジナルの木彫り作品を作るようになった。初めて自分の作品が売れ、その客の満足した笑顔を見たとき、自分の進む道はこれしかない、と思い立たった。
 ノースバンクーバーでアートの修行をし、合計4年ほどかけて全てを学んだ。一番よくオーダーが入るのはシルバーアクセサリーだが、木彫りのオブジェも作成する。現在は15フィートのトーテムポールを、約半年ほどかけて制作中だ。その合間を縫って、金銀細工のオーダーをこなす毎日で、とても忙しい。「一番大変なのは、図柄のインスピレーションが湧くまで。毎回違ったシンボルの組み合わせの注文が来るけど、それを美しいデザインにするのは、容易なことじゃない」と笑顔ながらに語ってくれた。彼の作品は『Copper Moon Gallery』で購入可能。
 
Gail Jacksonさん Naastowさん Noel Abrahamsさん
 トラディショナルカラーの赤と黒を基調に、200年以上前から続く伝統を大切に守りながら作品を生み出しているCapilano Suspension Bridgeのアーティスト。古くから伝わる家紋の図案を元に、彼ら独自のオリジナリティーが光るデザインや、新しい素材を使った創作活動にも力を入れている。
 Naastowさんは、木のカービングのほかにシルバーの小物作りも手掛け、歌や踊りの習得にも熱心だ。Noelさんは歌と踊りのスペシャリスト。2時間ごとのパフォーマンスで、“Coming into the House Song”と呼ばれる歌と踊りを披露してくれる。これは、どの種族が家に訪ねて来たかを家人に知らせるもので、他にも酋長の歌や遊び歌などもあるそうだ。Gailさんはビーバーの図案の周りに、娘がデザインした幾何学模様を組み合わせて手芸作品を作っている。彼らの作品は、吊り橋手前の『The Capilano Trading Post』で購入することができる。

West Caost Native Art
電話:
1-250-722-3321 メール:noel-brown@shaw.ca

シルバーのペンダントトップを制作中のNoelさん。シルバーを彫るのは、結構な力仕事だ
ゴールドのピアス。他にも指輪、ヘアピン、タイピン、ベルトのバックルなど、あらゆるものを制作する

 
Capilano Suspension Bridge
住所:
3735 Capilano Rd.North Vancouver,BC V7R 4J1
電話:
604-985-7474 WEB:http://www.capbridge.com
背中に大きく家紋を配したマントを身にまとう。制作にはだいたい2、3週間かかるという。アクセントに貝ボタンを使用
2時間ごとのパフォーマンスでは、NoelさんとGailさんがドラムを叩きながら歌を披露し、Naastowさんが自作のマスクを被って踊りながら観客を楽しませる
     
 
 

 
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