上級編 男なら手際よく時には大胆に!!
 ヤス君が料理に興味を持ち始めたのは、小学2年生の時。「初めて作った甘酒をおばあちゃんに『まずい…』と言われたのがキッカケ」と言う。それが悔しくて、悔しくて、いつかおばあちゃんに「美味しい」と言わせたい! そう思って入ったのが、“お料理クラブ”だった。リベンジに燃える彼はメキメキと料理の腕を上げ、小学3年生の頃にはすでに家の晩御飯を作るまでに成長。「この時に家族に喜んでもらえたから、その笑顔を見て嬉しかったから、だから僕は今も料理を続けているんだと思います」。そんな風に語る彼の表情はとても輝いている。
 料理の世界は厳しい。働き詰めで寝不足の日々が続いても、「仕事を辞めたいと思ったことは1度もない」と語るほど料理を愛するヤス君。高校卒業後はプリンスホテルのフランス料理店に就職、2年目でオードブルとソシエの主任になり、その2年後はソース場の主任に就任。さらに、“全国プリンスホテルコンクール”では全国10位に輝いた経歴まで持つ実力者。口癖のように「1日1回は包丁を持たないと落ち着かない」と言い、今年も包丁を握らなかったのは正月だけというから驚きである。
 「今日の予算は10ドルですが大丈夫ですか?」との質問にも、「10ドルもあれば大抵の物は作れますよ」と笑顔で回答。「誰にでも作れますか?」との質問にも、「皆さん料理は難しいと思いがちですが、面倒くさがらずに一工程ずつやれば誰にでも美味しく作れますよ」と答えてくれた。さすが上級者、“頼れるアニキ”といった感じだ。ヤス君がそっと囁く料理のポイントとはズバリ、「材料を全て先に切ってしまうこと」。今回も、たくさんある食材を一気に切り始め、そしてあっという間に終わらせてしまった。
 まず、最初に取り掛かったのは、時間のかかるパエリア。今回は炊飯器を使用。そうすると火加減の調整が要らず、ラクなのだそう。その間に、ミネストローネも作り、2つができ上がる間に、サラダもささっと、神業の如きスピードで終わらせ、気が付くとテーブルの上には彩りも美しい3品が完成していた。盛り付けもパーフェクト! 高級レストランに来ちゃった気分。では、ゴチソウになります!!
 味はもちろん、取材で来ていることを忘れるほどウマイ!!! どうしたらヤス君のようになれるのだろうと、料理が上手くなる秘訣について尋ねると、「最初は好きな人のために作るのが一番ですね」と恥ずかしそうに答えてくれた。“料理の申し子”と言っても過言ではないヤス君の夢は、自分の店を持つことではなく、セミリタイヤして美味しい野菜を作ることだという。もったいない気もするが、『好きな人の為だけに料理が作りたい』と願う彼の、大きな夢なのである。  
レポーター山名の感想
料理に傾ける愛情は人一倍のヤス君。食材を選ぶ時なんて、4軒も店をはしごしたほど! 作っている時の顔は真剣そのものでしたが、料理ができ上がると満面の笑みを浮かべ、料理について楽しそうに語ってくれました。そんな彼が愛情を込めて作った料理は、とても10ドルとは思えないぐらい美味しくて、3人前あった料理もほとんど僕1人で食べてしまいました。

Davie St.界隈に住むヤス君のお気に入り買い物スポットは、『WEST Valley Produce』(1156 Davie St.)と『Kin's Farm Market』(1160 Davie St.)。食材が新鮮な上、香辛料なども豊富なのだ。
  材料すべての分量、値段
鶏ムネ肉 1枚(約100g) /2.22ドル
トマト 1個 /3.23ドル
パプリカ黄色 1個 /0.25ドル
パプリカ緑 1個 /0.75ドル
インゲン 8本 /0.33ドル
タマネギ 1個 /0.86ドル
ニンジン 1本 /0.25ドル
もやし 10g /0.14ドル
マッシュルーム 8個 /0.40ドル
ニンニク 1個 /0.21ドル
ダイストマト缶 1缶 /1.29ドル
合計 9.73ドル
 
パエリア
材料・分量(3人前)
米……180g×2  コンソメスープ……1袋or1個  塩……少々 オリ−ブオイル……大さじ2  
ニンニク……2片  カレー粉……小さじ2
黄色パプリカと緑パプリカ……各1/2個  
マッシュルーム……3個 トマト……1/2個  
タマネギ……1/2個  
鶏ムネ肉(骨付き)……100g
ローズマリー……少々  ニジネン……1/2本

1. タマネギ、ニンジンをみじん切り、パプリカ2種を櫛切り、トマトを大きめのダイスカット、そしてマッシュルームをスライスする。鶏ムネ肉は皮を外し、小口大に切る。2. 米と同量の水を湧かし、コンソメスープと胸肉の骨を入れる。3. 2とは別の鍋にオリーブオイルを入れ熱し、タマネギ、ニンジン、米の順で炒める。米が透き通ってきたら、ニンニクとブイヨンを加え、2のスープとカレー粉を入れて炊飯器で炊く。4. 鶏のムネ肉をフライパンでソテーし、炊き上がったご飯、ソテーした鶏肉、残りの野菜を別の鉄板にのせ、180℃のオーブンへ。黄金色になるまで(10分ほど)待つ。

ここっ! ポイント!!
●タマネギは茶色になるまでよく炒める。タマネギに深い甘味が出る。
●米は洗わずに使う。または洗ったなら良く乾かしてから使うこと。余分な水分が米に入るとパエリアが美味しく仕上がらないため。
●オーブンで焼く時、米の表面に焼き色が出るまでよく焼く。
ミネストローネ

材料・分量(2〜3人前)
ニンジン……1/2本  トマト……1/2個  
タマネギ……1/2個 オリーブオイル……大さじ1  
ニンニク……2片  インゲン……8本
ダイストマト缶……1缶  砂糖……少々  
塩……少々  コショウ……少々

1. タマネギ、ニンジン、インゲンを紙吹雪大(1cm)にカットし、ニンニクはみじん切り、トマトはダイスにカットする。2. 鍋にオリーブオイル、ニンニクを入れて炒め、カットした野菜を入れる。3. トマト缶と水1カップを加え、弱火で煮る。4. 塩、コショウで味を整える。味が薄い時は、砂糖を入れる。

ここっ! ポイント!!
●野菜を紙吹雪大の大きさにカットする。均等にカットしないと火の通りが変わり野菜が美味しくならないため。
●トマトのタネをスプーンの裏側(柄の部分のこと?)で取ると、炊いてもトマトが煮崩れしない。

鶏のプロヴァンス風
材料・分量(2人前)
鶏の皮……あるだけ  
鶏ムネ肉についてたささみ……10g程度  
もやし……10g
黄色&緑パプリカ……各1/2個  
トマト……1/3個 ニンニク……2片

1. スライスしたニンニクを炒め、香りが出たらささみと鶏肉の皮を焼き色がつくまで焼く。2. 野菜を硬いものから順に炒める。3. 塩、コショウで味付けをする。4. 最後にトマトをからめる。

ここっ! ポイント!!
最後のトマトはグチャグチャにならないように。