伐採中、少しお休み願ってポーズを取って頂く
 バンクーバー島・ナナイモからハイウェイNo.1を30km南下。立ち並ぶ樹木の淡い緑に染められし陽光、車窓に射し込み、思わず右手に逸らした視線、錆びつき廃れた線路の軌道に黄色の花々咲き乱れるを捕らえる。点在していた家屋、群れ立つ辺りを過ぎ行くと、広大なカウチン“Cowichan”地域北東部の一点、シュメイナスに着く。壁画施された公衆トイレ前の駐車場に車止める。聞こえてくるのは、鳥のさえずり、遊覧車の長閑な音色。穏やかで静かな街並みを抜け、復元された水車回る “Waterwheel Park”へと向かう。モミの木立ちの横、光浴びきらめく水に押された水車、音立てずゆったりと回転する。その後ろに描かれた小川ある水車小屋風景の壁画“Mural”をぼんやりと眺める。
 1860年代から100年以上に渡り、林業一筋で繁栄を極めてきた小さな村が、1970年代後半、木材需要不振で製材業が壊滅し廃村の憂き目に曝されようとしていた。それを救ったのが、関係者の一人、家具製造業者のカール・シュッツ氏。彼の提案で空家・ビルの外壁に絵を描き、36の壁画を持つ野外美術村として観光客を呼び寄せ、蘇生したシュメイナス―この村を取材する話が舞い込んできたのは、自分の居場所定まらず、「日本に帰ろうか、いや、今更戻って何が…」行く末に思いを巡らす矢先だった。「壁に落描きして、“村おこし”ですか? “The Little Town That Did”ですと? お断わりしようかな。いや、宙ぶらりんで膠着してるより、日帰りでも空間移動、気分転がり失せんかも」と、そして今ここにこうして…。


蒸気機関車走り抜ける館。冬は煙突から煙が
突然、壁画の中、水車から小川に流れ落ちる水、弾ける音と共、水車―コトコトコットン―音立て回る。周囲見遣ると、同行の記者・文学青年の大崎君、少し離れて博物館わきの木彫林業記念碑、シゲシゲ見入っている。彼を残し街路に出、壁画あるシーンに導く歩道に印された黄色い足形辿るうち、壁画の中の20世紀前半の喧騒たる音の渦に我知らず巻き込まれ―男2人巨木赤スギにドスンドスン斧叩き込むたび木霊樹林を駆け巡り、切り倒された原木曳くゴオゥーゴオゥーと地響き立てたる蒸気ブルドーザー、製材所の極大丸鋸ウイーンウイーン唸りたて、作業する男たちの掛け声構内に響き渡り、材木・鉱石満載した陸蒸気もうもう油煙噴き上げシュポシュポシュッポッーポーと鉄橋渡る。―そして丘の上、先住民族の娘1人佇み、入港する帆船見下ろす図に風吹き流れ、それと共に音去り行く。


この足形を踏みはずすと大変なことに

実際音を立てているのは壁画の方である
 ハミングバードが居そうなレストランや不思議の国のアリスが住んでいるようなB&Bを通り過ぎ、「こんな所で、壁画のヤマビコなどに酔っている場合でない。バンクーバーに戻れば、また行き場のない悩みに…」ふと立ち止まり足下を見ると、黄の足形が白に変わっている。それを辿ってMaple St.を北に向かうその足跡は、壁画以外のスポットへ案内する道標であった。それを追うと、ジョージア海峡の内海に浮かぶ島々が一望できる突堤に出る。Oak St.に突き当たり、それを左に折れてみると“Thetis & Kuper Islands行き”フェリー発着場がある。その入江には、再起した新製材所の筏がプカリプカリ並び寄る。Thetis島まで15分、Kuper島へは30分。両島とも休養娯楽村であり、スキューバーダイビング、釣り、バードウォッチングができ、ぶどう畑もある。「と言うことは、ワインを…」と思うが潔く踵を返す。


風凪ぐ壁画に風流れ音止む
 カフェやレストラン、ブティック、骨董、陶芸、ジュエリー店、土産物屋など並ぶ目抜き通りを歩き、車に向かう。駐車場後ろの壁画にあるブラスバンドの演奏、“ブンチャカブンチャカ”鳴り響くを聴きシュメイナス後にし、ダンカン目指す。途中、先住民勇士3人、遠く見つめたる無言の表情描いた雄弁な壁画思い浮かべ、「歴史を壁画に描き遺すことにより、まったく異なる世界で蘇った村かぁ。己の過去を置き忘れたまま、逃げ道探しても、醜名なすだけか…」と、近く見つめて訳分からぬこと真剣に考える。

   

おとぎ話から抜け出した館屋敷
 
時計台のようなこの店の中で、 宝石が輝き鳴る
 
ハミングバードもうらやむおし鳥ご夫婦
 うす紫の花弁を持つテッセンで飾られたアーチをくぐり、チューリップやバラなどの花々咲きほこる庭を通り、チャリリンとドアを開ける。と、不思議な空間が待ち構えている。ソファとテーブル、飾り棚、ランプその他の調度品、皆すべてビクトリア調。部屋は1階に1室、2階に2室あり、メルヘンなれどTV/VCRなど完備している。池ある裏庭を挟んで、秘密の館めいたCastleburry Cottageが建っている。1階と2階に1つずつ部屋があり、暖炉、大理石の浴槽、天がい付きベッドなどハネムーンやロマンスのカップルには、おあつらえ向きの趣。
 

住 9909 Maple St. Chemainus, BC
V0R 1K1
電 1-250-246-9910
F 1-250-246-2909
メ info@birdsongcottage.com
Web http://www.birdsongcottage.com
宿泊料金:シングル$95〜、ダブル$105〜、ツイン$125〜、トリプル$140〜。なお、冬と夏で若干異なる場合もある。カナダセレクトB&B部門で☆☆☆☆に輝いている。

   小さな店内には、温かな微笑みが満ち溢れ、ずらり並ぶケースには、ビーズなどアクセサリーの材料が豊富に取り揃えられている。形は、丸に三角四角・切子に管型・棒状とまちまちで、材質も、ガラスに金属・石に木とあり、色も選り取り見取り。壁には皮紐や鎖、そしてペンダント・ネックレス・ロザリオ・ブレスレットが商品ではなく、まるで店の飾り付けのように掛かっている。ガラス棚の中では、市価よりずいぶん割安なピアスや指輪、ブローチが輝く。それでは早速店の奥にある工房で、あなたのオリジナル作品を、店主Deniseさんの無料奉仕の手ほどきで創ってみよう。  

住 9899 Maple St. Chemainus, BC
  V0R 1K1
電 1-250-246-4222
メ mizpah2@telus.net

   工藤夫妻が、この店を初披露したのは5月1日。この地域で唯一の日本料理店と言うこともあり盛況だった。だが、元フランスレストランだった店内を、もっと自分たちの意向に添うよう自らの手で改装するため一時休業した。通り掛かった時は、来る5月19日の再開店に向けて、工事の真っ最中…にもかかわらずご親切に、藤棚のあるパティオに招き入れて下さる。その横には店の、芝生敷く庭園広がり、その向こうに、隣家の壁画がこの店のためのように存在している。ハチドリ用蜜水器ぶら下がるそのパティオで無添加の手作り餃子とビールまでご馳走の仕儀と相成る。乾杯! ご夫婦とお店に幸多かれと!  

住 9875 Maple St. Chemainus, BC
V0R 1K1
電 1-250-246-1046
*店の2階をB&Bにすることも計画中。旅される向きは、問い合わせを。


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