プロが語る

「うわー、すげー、なんだこれー」すっかり日も暮れ夜のとばりが辺りを包み始 めていた。そして俺は、その闇に包まれた真っ暗な夜の海に浮かんでいた。ふと 空を見上げるとそこには満天の星、星、星。中でも一際明るくそしてはっきり と、そう、あんな綺麗な天の川は日本ではお目にかかった事はなかった。辺りは ピーンと張り詰めた空気だけ、そこに一瞬ドキッとするぐらい響いてしまった俺 の声。慌てて周りを見まわしてみた。すると一緒に参加した全員があたりにプカ プカ、口々に同じような事を口にしながらひとときの宇宙旅行気分楽しんでい た。どれぐらいそうしていたのだろう、ふと我に返る。そう俺達は、夜の海に潜 るナイトダイビングをしに来ていたんだ。

ここはVancouver Islandの近くにあるGabriola Islandのとあるダイビング ポイント、そして今日は2泊3日のダイビングトリップのメイン、ナイトダイブ の夜だった。そしてまた俺にとってプロとして参加する始めてのトリップとして 想い出深い夜でもある。

ナイトダイブは始まった。俺にとってはもう何十回も経験している普段どお りのダイビングのはずだった。そう暗い海にライト一つだけで入る昼間には御目 にかかれない生き物たちに出会う事の出来る少しスリルのある、そして何故かホ ッとしてしまうそんなダイビングが俺にとってのナイトダイビング。


なんともユニークな形の海洋生物
バスケットスター

でもこの夜は何かが違った…「皆ライトついてるかー?バディーの確認した らバディー同士入るぞー」いよいよ水中に、そこは夏だったにもかかわらずほぼ クリスタルクリアーといっても良いほど透明度のコンディションが良かった。そ れぞれの体がライトに照らされてエメラルドなスクリーンにシルエットとして浮 かび上がる。各自のライトが水中で交錯する、多分そこにいた全員が、このコン ディションの良さを堪能しているのだろう。

その驚きが一段落するのを待って改めて水中を進む。ここは5mぐらいの浅 い岩棚が続いた後いきなり50mぐらいの深さのある垂直の壁が現れる。まさに 漆黒の闇、そこにはただ闇だけが口を開いて俺達の来るのを待っている。一瞬の 間この暗闇を眺める、俺はこの瞬間がたまらなく好きだ、そして全員が意を決し たように闇に向かって飛び出していく。まるで映画のワンシーンのように時間が 止まる、気分はスターパイロット、スターウォーズのワンシーンといえば分かる かな?まさにじぶんが今宇宙空間に漂っているような錯覚に包まれる。当たり前 の事で落ちていくはずもないのだが、不思議と落ちていく感覚が体を包む。そし て見えるのは自分のライトが照らす場所だけ、このままこの闇にとけて行ってし まうのではなんて感じ始めたその時「ギラッ」っと銀色に輝く物が俺達の視界に 突然入ってきた。それは紛れもなくあのテーマが聞こえてきそうな、そうあい つ、銀色に輝く体を持つサメだった。恐怖が体を包む、今にも心臓が張り裂けそ うになる、だが… 良く見ると小さい?! そうカナダにいるこのサメはドッグ フィッシュと呼ばれ大きくても1.5mぐらいにしかならずエビなどを食べてい るおとなしいやつなのだ。


きれいなオレンジ色をした
オレンジピール

こんなドキドキするダイビングも終わりを迎える。浅瀬に戻り浮上準備をす る間、ナイトダイブにはつき物の消灯タイムを迎えた。全員が一斉にライトを消 す、そして自分の前の水をかき混ぜる。

「すげー、なんだこれー」なんとそこには、天の川が、満天の星が、水中の はずなのに…。周りを見まわすと、そこにもあちらにも皆の周りに銀河系が出来 ていた。しばし時間を忘れる。ただひたすら水をかき混ぜ続ける。そこは現れて は消えていく星達に目を奪われたまま。でも空気には限りがある、後ろ髪を引か れつつ水面に浮上してマスクをはずし、冷えた夜の空気を胸に吸い込む。そして 見上げた夜空にはさらに多くの星達が輝いていた。「どっちがどっち?」そんな 事を思いながら波間に漂いつづけた一番の想い出の夜になった。

 

〜DivingオススメSpot〜  

今回のお薦めスポットは、バンクーバーアイランドにあるナナイモからもう一 度フェリーに乗ってたどり着く事が出来るガブリオラアイランド。ここは離島と 言う事もあってのんびりとした雰囲気が漂う島。周りは当然海、と言う事はそこ には数多くのダイビングスポットが点在するわけだ。中でもそこから船で行く約 100m級の沈船ダイブや、今回も出てきたウォールでのナイトダイブ、生き物 も豊富で直径30cmを超えるウニや北の海の顔、オオカミウオなど盛り沢山。 運が良ければイルカやクジラ、シャチなどに遭遇できるかも!!   

ぜひこんな所で潜ってみたいと思ったあなた、IDCダイビングセンター (736-2557)までお問い合わせ下さい。

 

コラムニストのプロフィール
Akitoshi Nishiyama

カナダでダイビングを始めてプロにまでなってしまった日本人のダイビング・イ ンストラクター。いろんな所で潜っているが何故かカナダに戻ってくる、とカナ ダの海に魅了されているベテラン・ダイバーだ。

IDC Diving Centre Ltd.
Address:2572 Arbutus St.、Vancouver
Phone:(604)736-2557(日本語専用)

 

 



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